婚約破棄 Vol.3

「婚約破棄された原因、あなたにあるのでは?」無礼な男の一言に、人前で涙を流してしまった女

女にとって、人生で最も幸せなときと言っても過言ではない、“プロポーズから結婚まで”の日々。

そんな最高潮のときに婚約者から「別れ」を切り出された女がいる。

―この婚約は、なかったことにしたい。全部白紙に戻そう。

澤村麻友、29歳。

夫婦の離婚とも、恋人同士の別れとも違う、「婚約解消」という悲劇。

書類の手続きもない関係なのに、家族を巻き込み、仕事を失い、その代償はあまりにも大きかった。

ーさっさと忘れて先に進む?それとも、とことん相手を懲らしめる?

絶望のどん底で、果たして麻友はどちらの選択をするのか?


良輔に結納返しとして渡していた封筒を、手つかずのまま返された麻友。婚約破棄は決定的なのだと、ようやく気付いた。

―麻友のそういうところが違うんだよ。

良輔に言い放たれた言葉を、麻友は理解することができなかった。


「長旅の前に写真を整理してはいけない」

そんなジンクスを持ち出したのは良輔の方だった。麻友はカナダに出発する前、帰国後の引越しや結婚式の準備に備えて、写真の整理も手掛けていた。

「縁起が悪いからダメ」

そう言って、麻友のことを良輔は止めた。

「どういう意味?まさか写真を整理したら、生きて帰れなくなるって言ってるの?」

「そういうわけじゃないけど、心配くらいしてもいいだろ?それに結婚式のスライドで使う写真は、ゆっくり一緒に選びたいし」

麻友はやれやれと思いながらも、良輔の意思を尊重した。

どうやら、彼はロマンチストなのだ。ジンクス、記念日、サプライズ。麻友の人生では無縁だったことを、良輔はいつでもとても大切にしていた。

麻友は女性の中では、かなり合理的で現実主義なタイプだ。周りの女友達のように占いに夢中になったり、記念日に情熱を注いだこともない。

なので、まるで男女が逆転したような二人だと、周りからよくからかわれた。

たしかに、豪華で盛大な結婚式をしたいのも、婚約指輪や結婚指輪にこだわったのも良輔の方。麻友は結婚式自体一人娘にできる親孝行程度にしか思っていなかったし、そこにお金をかけすぎることは得策ではないと考えていた。

―もしかして、そこからズレが生じていた?

今となっては知る由も無い。

麻友は、結局使い道のなくなった良輔との思い出のツーショット写真の束を手にし、ただ途方にくれていた。

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