2019.07.22
SNSが飲食店の売り上げを左右する時代。巷には、フォトジェニックな食べ物が溢れている。
それは、お肉の世界も例外ではない。
驚ろくべきビジュアルと未知なる味を兼ね備えた、「映えるお肉」が話題なのだ。
とっておきの5軒を紹介する。
選ばれし大人だけが知る、秘められたスペシャリテ
『蕃 YORONIKU』の「シャトーブリアンのロゼカツサンド」
ヒレ肉の最高級、シャトーブリアンをカツサンドにするという大胆さ。まず、誰もが驚かされるのはそこだろう。
それもコースの後半、クライマックスに登場するひと皿が、である。
だが、ひと言でカツサンドと片付けてはいけない。
〝焼肉屋の概念を変えた〞とも評される『よろにく』の創業者が、細部にまでとことんこだわった渾身の逸品なのだ。
肉はじっくりと低温で火入れした後、極薄の衣につけて高温で一気に揚げられる。
その間、眼前のロースターでは、名店『CENTRE THE BAKERY』の食パンに、いい塩梅に焦げ目がついていく。
待つこと10分。最高のタイミングでカツが登場。サンドされ、特製ソースが滴り、いざカットへ。
シルキーで艶やかなピンクに染まった断面がついに現れたその瞬間、テーブルは歓声に包まれる。
この「シャトーブリアンロゼカツサンド」¥20,000~(税別、「OMAKASE」限定 スペシャルコースのひと皿)は、あわせて5cm以上の厚みをもつが、その後味は驚くほど軽やか。
大人を本気で夢中にさせる、罪作りなひと皿だ。
缶に詰まった「夢のコラボレーション」が口福の極み!
『焼肉 うしみつ 恵比寿本店』の「缶詰のユッケ」
レストランで缶詰。その想定外の出来事に驚ろくのも無理はない。だがビジュアルはもとより、その食べ方もまた斬新だ。
通常よりもひと周り大きい手のひらサイズの缶詰は、供されるときにはしっかりとシールドされている。
客は自分の手でプルトップを開けて初めて、中身が何かを知るのだ。
うに、いくらのしょうゆ漬け、ホタテ、キャビア……。ふたを開けても一見、肉の姿はどこにも見えない。
だが、手渡されたスプーンで缶を底からすくうと、現れるのはピンクに輝く山形牛のユッケだ。
フレンチで修業した経験のある料理長が「日常的に身近にあるものの中から、非日常的な高級食材が出てくるのが面白いと思って」と、わざわざ海外から缶を取り寄せて作ったという。
幾重にもサプライズがレイヤーされたこの「缶詰のユッケ」¥7,980(サ別)~のコースの一品 (期間限定)だが、最大の驚きは他でもない。
これはコースをオーダーした全員へのサービスメニュー。
ただゲストを喜ばせたいという熱い想いだけで作られた、採算度外視の夢の缶詰だ。
一目で大人を虜にする禁断のコンビネーション
『西麻布 けんしろう』の「和牛うにとろドッグ」
成功者にとって、金額の多寡はさほど重要ではない。それ以上に求めるのは、本能を刺激し、感性に響く既視感のない新しいものである。
とくに西麻布という地においては、その傾向は顕著だ。
オープンして約3年。〝人に教えたい〞という客の心理を突いたメニューを武器に、『西麻布 けんしろう』は駆け上がってきた。
メニューに存在していない「和牛うにとろドッグ」¥4,000~(サ別、時価)も、元は客を喜ばせたくて出したアドリブ的な一品だったという。
だがSNSでの投稿が拡散するにつれ、最近では「インスタで見た〝あれ〞が食べたい」と指名する客まで登場。
いつのまにか店の隠れた名物となっている。
サシと赤身のコントラストが見事な山形牛に、黄金色の濃淡が美しい利尻産のムラサキウニ(取材時)を大胆にも1列乗せた背徳感たっぷりのコンビネーション。
酢飯とともに、瀬戸内の厳選した海苔で巻いたら、かぶりつく。押し寄せる旨みの洪水と共に、静かなる口福に身を委ねたい。
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