友人は皆セレブ婚なのに彼氏は低収入。生活レベルを下げられぬ女が出した結論とは

「聡とは別れてからも結局、何かにつけて連絡したり会ったりしていたんです。お互いの誕生日とか…聞いて欲しい話があるときとか。彼に別の彼女がいたこともあったけど…そうですね、お兄ちゃんに相談するような感覚で」

友達とも恋人とも言えぬ関係を続けていた二人。そして27歳の時、ある出来事がふたたび二人を近づけることになったという。

「ずっと実家で飼っていたワンちゃんが天国に行ってしまったんです。聡も可愛がってくれていたから、すぐに連絡をして家に来てもらいました。私ももちろんだけど、母の落ち込みがすごくって…それを聡がすごく親身に励ましてくれて」

当時を思い出したのか、恵里奈の目が少し赤くなっている。

動物を飼う者にとって、愛犬を失うのは我が子を失うのと同じ。その辛い時を支えてくれた聡に、恵里奈は自ら「やり直したい」と伝えたという。

「その時のことがあるから母は聡と私の付き合いに反対はしていないんです。とはいえ結婚となれば話は別。何より父が絶対に良い顔をしません。頭ごなしに別れろとは言いませんが、“よく考えろ”というような感じで度々釘を刺されていますので…」

しかしそれだけの深い絆があり、そして聡にしたって何も働いていない訳ではない。満足のいく収入ではないかもしれないが、恵里奈が覚悟さえ決めれば何も問題はないのでは…?

「…そうですね。親の話を持ち出してしまいましたが、原因は自分です。彼のことが好き。彼以上に好きになれる人はいないと思います。だけど一方で冷静に考えてしまうんです…彼と結婚した後のことを」

恵里奈は未来を思い浮かべるように遠い目をした。そしてその長いまつ毛を静かに伏せる。

「聡と一緒にいたい。でも友人たちと一緒になって食事に出かけたり、買い物したり、お稽古に通ったり…そういうことが出来なくなるのは嫌というか、絶対に我慢できない。

それに幸い聡も結婚願望がないみたいだから。それなら別にこのままでいいかなって思っちゃうんですよね」

好きな相手と一緒になることで生活レベルを下げるよりも、生活レベルを保つことを優先させた恵里奈。人の価値観次第だが、いつか「もっと本気で婚活しておけばよかった」とならないことを願うばかりだ。


▶NEXT:6月18日 火曜更新予定
ちやほやされないと気が済まない、アテンションホリックな女

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