美女失脚 Vol.1

美女失脚:女の価値は、顔でしょ?玉の輿目前だった超絶美女の人生が、狂い始めた夜

女の価値は、顔でしょ?


優里は、大手広告代理店の受付で契約社員として働いている。

彼女の武器は、なんといっても、最強のルックスだ。

陶器のようになめらかで真っ白な肌の小さな顔に、ヘーゼル色の大きな瞳や桜色のぽってりした唇が行儀よく配置されている。

身長は155cmと小柄だが、Dカップの豊満な胸と華奢な身体つきで、男心をくすぐる。

少し前には、とあるネットの掲示板で、超絶かわいい受付として話題になったほどだ。

ひと昔前の百貨店のエレベーターガールのようなレトロな制服に優里が身を包めば、アイドルのコスプレのようなかわいさで、男性ファンの心を掴んで離さない。

「女の価値は、顔」だと、優里はつくづく思う。

勉強も好きではないし、料理も一切出来ないが、自分にはそんな努力は必要ない。

男に尽くすなんて、狂気の沙汰だと思っている。女は、男に尽くされてなんぼなのだ。

ハイブランドのバッグを貢ぎ、星付きレストランに誘ってくれる男達が自然と寄ってくる女こそ、極上の良い女。

−玉の輿なんて楽勝。あとは、私が本気になるだけ。

30歳目前。そろそろセレブ妻という次のステージに進むのも悪くないだろう。


「優里ちゃん、今日も最高にかわいいね」

『レストラン エール』に5分遅れで到着した優里を見るなり、隆一は目尻をぐにゃんと下げた。

優里が微笑むと、隆一はさらに目尻を下げて、ギョロギョロしたその目は、糸のように細くなる。

「今日はちょっと話したいことがあるんだ。ひとまず何か飲もう…そうだな、ロゼでも頼む?」

−話したいことって…。やっぱりね。

優里は、やはり隆一は自分に告白しようとしているのだと確信した。

こんなこともあろうかと、今日はお気に入りのワンピースに身を包んできた。

付き合うことになれば、交際記念の一枚を撮影することになるだろう。そしてその写真は、近い将来2人の結婚式で使われることになるはずなのだ。

優里は、その時を待った。

しかし、隆一は前菜、メインが運ばれた後も、なかなか告白してこない。時折バチっと目が合っても、隆一はフフッと笑ってすぐに目を逸らしてしまう。

−緊張しているのかしら…?

恥ずかしくて言い出せず、頃合いを見計らっているのかもしれない。確かに、料理の途中で告白して断られてしまったらその後が気まずいだろう。

コースの終盤、デザートのタイミングにでも告白されるんだろうなと思っていた。

そして優里の読みは当たり、コーヒーが運ばれてきた時。ついに、隆一は口を開いた。

「僕、ニューヨークのロースクールに留学することになったんだ」

この記事へのコメント

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No Name
ゆりも悪いが、長く付き合っている婚約者がいるなら、何度も誘わないでほしい。
高級なお店連れて行かれたら、勘違いする。
2019/05/24 05:5999+返信15件
れもん
本気でセレブ妻を目指すなら、まずは相手の周りの人たちと対等に話ができるだけの、知性と教養を身につけた方がよろしいかと。
2019/05/24 05:5599+返信9件
No Name
NYのロースクール…ケイケイwww
2019/05/24 05:4499+返信3件
もっと見る ( 152 件 )

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