略奪愛 Vol.13

「離婚するなら…条件があります」略奪愛に溺れる夫に、妻が突きつけた残酷な選択

明日香:「信じて待つ」と誓ったけれど…


ずっと二人で過ごしていた部屋は、一人でいるとやけに広く感じた。

彼がテーブルに置いていった読みかけの雑誌。洗面台に出しっぱなしの香水や整髪料。そこかしこに残る大谷の気配を、私は敢えてそのままにして過ごした。

少しでも、彼をそばに感じていたかったから。

大谷が出て行って、もう5日になる。

最後に彼と話したのは、大谷の妻から突然の電話を受け取った夜だ。

あの日、私は一方的に切れた電話にしばらく放心していた。自分の身に何が起きたのか、即座に理解できなかったのだ。

大谷とのことが彼の奥さんにバレた。とんでもない事態になったのだということにようやく気がついて、私はすぐさま大谷の電話を呼び出した。

「大丈夫、明日香は何も心配しなくていい。俺を信じて」

あの時、大谷は確かにそう言った。

彼を信じよう。信じて待っていよう。そう誓ったはずだったが、こうして独り孤独に過ごす夜はどうしても不安が襲ってくる。

ダメだ。余計なことを考えず、もう眠ってしまおう。

流しっぱなしのNetflixを切り寝室へ向かおうとした、その時だった。突如、スマホの着信音が鳴った。

−大谷さんだ!

私は飛び跳ねるようにしてスマホを掴み、すぐに応答した。


「明日香…なかなか連絡できなくてごめん」

優しくて、心地の良い声が耳に流れ込んだ。

この人のことが好きだ。声を聞いただけでそう思う。甘く、柔らかな感情で満たされていく。ついさっきまで感じていた孤独や不安さえ、跡形もなく消え去っていくようだった。

大谷はまだ外にいるの......


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