遥の新恋人・圭介はというと…?
―圭介:会食終わったよー。後輩と軽く飲んで帰るね。
圭介は遥にLINEを送り、部署の後輩・池田との会話を続ける。
「え、大石さん、彼女出来たんですか?うわー、めでたいな。いつ以来ですか?何個下ですか?かわいいですか?写真見せてくださいよ。うわー、めっちゃ美人じゃないですか。賢そう、綺麗系。え、で、出会いは?デートはどこでしたんですか?」
接待の肩の荷が降り、酔いが回り出した後輩から、圭介は質問攻めに合う。
「普通に食事会だよ。久々に声がかかったから。デートはこの間、『オステリア アッサイ』に行ったかな。彼女、“できる女”って感じだから、店選び緊張したけど。喜んでたよ」
食事会で、圭介は遥に一目惚れをした。圧倒的に美しい外見はもちろんのこと、同年代の女性にはない凛としたオーラに強く引き付けられたのだ。
酔っ払った池田が、圭介にさらに絡む。
「いやー、良かった。圭介さん、研修前からずっと彼女いなかったし、ポートランド研修中も遊んでなかったって聞いてたから、全然興味ないのかと思いましたよ。てっきり仕事一筋なのかと」
「別に興味がないわけじゃない。ピンとくる子がいなかっただけだよ。でも、この子は本当に大事にしたい。歳も歳だしな」
「あ、それ俺この間聞いたんですけど。出会ってすぐ、結婚にビビッときたってやつ?そのカンって当たってるらしいですよ」
「やめてくれよー、そんなまだ早いよ。…でも、真剣に考えたいと思ってはいる」
「おおー、すげー。めっちゃ惚れてるじゃないですか!彼女さんって、独り暮らしですか?」
「まだ聞いてないけど、都内に住んでるし、料理が趣味って言ってたからな」
実は遥について知らないことがまだ多かった。食事会で一目ぼれして初めてのデートですぐに告白。早くアタックしないと他の男にとられてしまいそうで、気が気じゃなかったのだった。
「彼女さん、28歳でしたっけ??まぁ普通に考えれば独り暮らしですよね。料理が得意な彼女っていいなぁ~。・・しかもこんな美女!!」
褒めちぎってくる後輩をなだめながら、圭介は既読にならないLINEを見ながら遥のことを思った。
遥は今頃、家で何をしているのだろう。彼女のことだから栄養バランスの取れた完璧な食事を作り、今頃ベッドで本でも読んでいるのだろう。
―彼女との距離をもっと縮めたい。
―彼女をもっと知りたいし、自分を知ってほしい。
遥が母親の作った手料理を食べ、温かい風呂に入ってソファでうたた寝していることも知らず、圭介は遥の手料理を食べる幸せな夜を思い描いているのだった。
そしてこの後、お互い知らなかった“ある事実”が、2人の前に大きく立ちふさがることになるのだったー。
▶NEXT:2月17日 日曜更新予定
実家暮らしの遥と、彼女と恋に落ちた圭介。付き合いが深まる中で知る、「ある事実」とは…?
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この記事へのコメント
「実家暮らしだから〇〇」じゃない気がする。本人にその気があるかないか。料理だってその他の家事全般だって、実家にいようといまいとやる人はやる。家賃分実家に収めてる人だって大勢いるでしょうに。逆に一人暮らししてようとだらしない人はだらしない。実家暮らしか否かは本質ではないと思う。