
日本のフレンチを支えてきた名店! 圧倒的なプロの技は、自身の仕事観にも影響を与える!
そして、その料理は、いずれも期待を上回る素晴らしさだった。
前菜の「冷製季節野菜の蒸し煮コリアンダー風味」、夏の傑作「冷製梅干しと大葉しそのスープ」に一世を風靡した「赤ピーマンのムース」や「エイのクールブイヨン煮 蒸しキャベツ添え シェリー酢バター」。
そして、今や『コート ドール』の顔ともいうべき「牛テールの赤ワイン煮」等々、料理は、オープン以来ほぼ変わらない。
昨今の行く度にメニューが変わり、二度と同じ皿を出さぬことを良しとするレストランとは、まさに真逆のスタイルだ。
しかし、ここを訪れる長年の常連客は、そんな季節ごとの一皿一皿を、毎年心待ちにして訪れる。街の喧騒から離れた、白金のこの閑静なロケーションも旅情を誘い、「また今年も」と普遍な時の流れを感じる。
いつも同じ時季に同じ料理を頂きながら、少しも食べ飽きることがない。
いや、むしろそれを食べたいがゆえに、この地に来て、この店の扉を開ける。これこそが、『コート ドール』の凄さであり、また、本物たる証と言っても過言ではない。
そこからは、35歳から67歳の現在に至るまで、日々厨房に立ち、スタッフと同じように汗を流し、自らの五感と触感を大切にしながら料理と向きあう斉須シェフの真摯な姿が垣間見えるようだ。
時代の流れを達観、決して流されることなく、一皿一皿の料理を我が子のように慈しみ、少しずつブラッシュアップさせていく。それが斉須料理の真髄であり、長年愛されてきた所以だ。
そして、それはそのまま斉須シェフ自身の生き様にも通じている―。
そう、斉須シェフほどその生き方に微塵のぶれのない料理人はほかにはいない。
同業の料理人からも敬愛される孤高のシェフ、斉須政雄。その料理哲学に触れることで自らも磨かれる。40歳だからこそ、体験すべき、こここそ、白金を体現する一軒だ。
Photos/Yuji Kanno@SPOKE, Text/Keiko Moriwaki
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