―30歳。
この年齢をひとつの節目として、自分を見つめ直す女性は多い。
ちょうど仕事での責任が重くなり、壁にぶち当たる頃。また恋愛でも、経験をそれなりに積んだがゆえに素直になれず苦戦するのだ。
彼女たちは、これをどう乗り越えていくのだろうかー?
美人で頭もよく、仕事もできると評判の美琴(みこと)は30歳を迎えたばかり。同じ会社の同期・旬(しゅん)に片思いしているが、告白はおろか、後輩・葵(あおい)との関係の真偽すら確かめる勇気が出ない。
人気者の葵に負けぬよう、自分改造計画をスタートさせるが、開始早々仕事でトラブル発生。途方に暮れていたが、皆の力を借りながら、無事に問題を解決させた。
そしてついに恋愛にも進展の兆しが・・・?
―やっぱり、これもいいな…。どうしよう、決まらない!!
ふと鏡に映った自分を見て気分がアガるのなんて、もしかしたら初めてかもしれない。
来週金曜日、会社の創立50周年を祝うパーティーが開催される。全社員が集結する盛大なものになるらしく、今日はその日のための衣装を買いに来たのだ。
―旬もいるしなぁ…。
美琴は試着室で、思わず鼻歌を歌い出しそうになる。それは先日後輩のしおりから、あることを聞いたからだった。
「先輩!大ニュースです。葵ちゃん、社外に彼氏いるって!」
しおりが息を切らして報告してきたのは、新商品のトラブルが解決した後のことだった。
美琴が旬と葵の関係性を聞けずにいるのを知っていたしおりは、トラブル解決のお祝いランチと称して、葵を誘い出してくれたらしい。
「これでもう、気にせず旬さんを誘えますね!先輩最近ますます素敵だし、絶対いける♡」
「ありがとう!次こそ、デートに誘うわ!」
自分自身に活を入れるよう、美琴は背筋をシャンと伸ばしたのだった。
◆
「お客様、いかがですか!?」
試着室の外から声が聞こえ、美琴はふと我に返る。
「そちらのワンピースも素敵ですが、お客様にはこちらもお似合いかと…!」
店員に勧められたのはセットアップ型のパンツスーツで、いままでの美琴なら絶対に選ばないだろうやや細身のものだった。下半身が目立つことを恐れ、手に取ることすらしなかったアイテムだ。
しかしもはや欠かせない存在となった『SUHADA 肌リフト STEP』は、履いた瞬間にヒップが上がり、シルエットが一瞬で整う。美琴が気にしていたヒップ下のたるみもどこへやら、たちまちバランスのとれたスタイルに早変わりだ。
もちろんきつい締め付けや、息苦しさは感じない。ショーツ感覚で履けるため、美琴は別のデザインのものも買って、毎日のように愛用している。
鏡に映る、そのパンツスーツを着た自分の姿を美琴はとても気に入った。ゆったりとしたワンピースドレスとは一味違う、凛とした魅力を感じたのだ。
「…チャレンジしてみようかな。」