黒塗りの扉 Vol.9

夫に内緒で、運転手との駆け引きに応じた妻。その先に待つのは破壊か、それとも・・・?

東京のアッパー層を知り尽くし、その秘密を握る男がいる。

その男とは…大企業の重役でも、財界の重鎮でもなく、彼らの一番近くにいる『お抱え運転手』である。

時に日本を動かす密談さえ行われる「黒塗りの高級車」は、ただの「移動手段」ではない。それゆえ、上流階級のパーティではいつも、こんな会話が交わされる。

「いい運転手を知らないか?」

一見、自らの意思などなく雇い主に望まれるまま、ただ黙々と目的地へ向かっているように見える運転手が。

もしも…雇い主とその家族の運命を動かし、人生を狂わせるために近づいているのだとしたら?

これは、上流階級の光と闇を知り尽くし支配する、得体の知れない運転手の物語。

ようこそ…黒塗りの扉の、その奥の…闇の世界へ。

これまでのあらすじ


自らの手腕で成り上がった男・環利一(たまき・としかず)。利一は、新たに雇った運転手・鈴木明(すずき・あきら)の身辺調査を始め、そこで得た情報を自身の別荘で鈴木に突きつけた。だが鈴木には利一の手の内を全てを見抜かれており、逆に利一の方が破滅へと追い込まれていた…?


鈴木明は、幼い頃から夜が好きだった。

計画通り環利一をリビングに置き去りにした鈴木は、利一に用意してもらっていた離れのベッドに、バスローブ姿のまま腰掛けた。

開け放ったままの窓から入る風が、シャワーを浴びたばかりの体にまとわりつくのを心地よく思いながら、明りをつけずに闇夜......


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