例えば、ある朝はトマト入りスクランブルエッグに、前夜に作った残りのスープを温め、好きなパンとミルクティーを。トレーニングに行った夜は、大人になってから徐々に食せるようになったという肉料理でタンパク質を。一緒に梅酒や焼酎を嗜むこともある。
一方で外食は週に1〜2回程度。古巣のアナウンサー仲間と繰り出したり、仕事が立て込んでいるときは一人、知り合いの女性がやっている和食店のカウンターで、ワインと軽めの一皿で済ませることも。
「でも、知っているお店はその一軒くらいで(笑)」と付け足してはにかむあたり、高校の友人たちが語った気質に通じるようで、微笑ましい。
ところで「異性から誘われたら、まずは食事に行くようにしている」という加藤さん。その上で、そんな彼女の中にある理想の男性像というのも、非常に気になるところだが…。
「仕事は続けたいので、まずはそこを受け入れてくれる人。あと私は失敗を笑い話にして消化するほうで、家でも割と喋るタイプなので、何でも笑い飛ばしてくれる人がいいですね。職業は問いません。
結婚は毎日の生活であり日常なので、何をやっているとか、どんなものを持っているとかいうより、一緒にいて楽しいかどうかが大事なのかなと」。
確かにケラケラと朗らかな笑い声と笑みに、同性までが癒され、相手に気持ちよくおしゃべりさせる相槌にも、さすがに長けた加藤さん。
ただ、アナウンサーは何かとしっかり者に見られることも多いことから、後になって苦しくならないように、相手には最初から飾らない自分を見せるよう心がけてもいるというこの頃。
「職業柄、相手の求めに合わせてしまいがちなので、とにかくそこは気をつけようと(苦笑)」
最近になって、インスタグラムも始めた。フジテレビではふらりとアナウンス室に行けば必ず誰かがいて、気負いのないおしゃべりができたが、今はそういう環境がないことから、世間の声や反応にも初めて向き合いたいと思ったという。
「皆さんに報告できることがある自分でいたいと思うんです。
局員時代に『めざましテレビ』のメインキャスターをやっていた時期が長かったこともあり、テレビに映る自分を意識し過ぎて、私生活を見せたり、意見することで悪く思われたらどうしようと、制限をして自分を守っていたところがあったりする。
インタビューでも『流れを汲んで、うまくまとめればいい』と。もちろん、その手腕が必要なときもあります。
でも、フリーになって、やっと自分の思いに責任や自信が持てるようになった今、普段の自分を見せていくことが、今後の仕事の内容にも自分の心持ちにもプラスな気がして。丸の内OLの方々は、すでに会得している術だと思うんですが(苦笑)」
変わることができる人間がいちばん強い。
この日、加藤さんが言い得た前述の言葉通り、せわしさを理由に周囲や心身と対話する余裕が持てずにいると、私たちは古びたものを手放す機会を逸し、固執し、許容できないものが増えていく。しかも大人になって変わることは、けして簡単ではない。
だからこそ、しかるべき時間を持ち、準備をし、しなやかに生きる。その姿そのものが、あざとさとは無縁の、働く女性としての加藤綾子の真っ直ぐな美しさである。
■プロフィール
加藤綾子 1985年生まれ。2008年フジテレビ入社、看板アナウンサーとして活躍。16年よりフリーアナウンサーに。現在『ホンマでっか!? TV』(CX)、『世界へ発信!SNS英語術』(NHK)、『MUSIC FAIR』(CX)にてMCにレギュラー出演中。
■衣装
【加藤さん】ジャケット¥36,000、ワンピース¥22,000〈ともにソブ/フィルム TEL:03-5413-4141〉、ピアス¥96,000 A.T.C.S.〈ドレスアンレーヴ TEL:03-5468-2118〉、リング¥300,000〈カシケイブラウンダイヤモンド/カシケイ TEL:0120-278-857〉、バッグ¥32,000〈ANAYI TEL:03-5739-3032〉
【男性】スーツ¥82,000、シャツ¥13,000〈ともにユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 TEL:03-5772-5501〉、タイ¥15,000、チーフ¥7,000〈ともにフィオリオ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店〉、時計¥750,000〈ブライトリング/ブライトリング・ジャパン TEL:03-3436-0011〉
■クレジット
Photos / Akira Maeda@MAETTICO, Styling / Hitoko Goto, Yuichi Sato(men), Hair&Make-up / Emi Suyama@ROI, Text / Yuka Okada
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