東京のアッパー層を知り尽くし、その秘密を握る男がいる。
その男とは…大企業の重役でも、財界の重鎮でもなく、彼らの一番近くにいる『お抱え運転手』である。
もしもその運転手が…雇い主とその家族の運命を動かし、人生を狂わせるために近づいているのだとしたら?
これは、上流階級の光と闇を知り尽くし支配する、得体の知れない運転手の物語。
ようこそ…黒塗りの扉の、その奥の…闇の世界へ。
これまでのあらすじ
自らの手腕で成り上がった男・環利一(たまき・としかず)。環が、政治家の田宮郷太郎(たみや・ごうたろう)とのポーカーの勝負に買ったことで手に入れたのが、専属運転手の鈴木明(すずき・あきら)だった。
だが実は鈴木は、ある人物からこんな依頼を受けていた。
『環利一を徹底的に壊して下さい』
そして、鈴木が環の自宅へ初めて出勤した日、環の妻・聡美は鈴木に対して、特別な感情を持つ。
鈴木と聡美の間に流れる微妙な空気に勘づいた環は、2人を監視するため、2人が乗る車にある仕掛けをするのだった。
「…嘘だろ…」
政治家の田宮郷太郎は、思わずそう呟いた。
迎えにきていた公用車に乗り込もうとした時、まるで幽霊でも見つけてしまった気分になったからだ。
通りの対面の歩道。表参道ヒルズのショーウィンドーの前で、信じられない光景が繰り広げられていたのだ。
「田宮さ......
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この記事へのコメント
コメントも思い浮かばない(笑)
環利一の何枚も上手なところが読んでて気持ちよすぎる。
環利一はどうなってもいいけど、聡美さんと琴ちゃんは幸せになってほしいなぁ。