恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.12

夫の浮気を見抜いた妻の執念。ホテルのロビーで4時間待ち続けた女が目にした、怒りの光景

−サークルの、10周年パーティー?

そんな話は、廉から一言も聞いていない。

「嫌うわけ、ないじゃないですか」

結衣に悟られぬよう必死で平静を装うが、心臓がバクバクと音を立てる。

—やっぱり前回の帰国で、廉は相沢里奈と会っていたのだ。

東京から戻って来た夜、私を抱き寄せた廉の手。頬を埋めた胸、重ねた唇。それから…。

廉はあの日、相沢里奈を抱いた後の汚れた手で、私に触れたのか。

グレーのまま必死で押し殺した疑いが、限りなく黒に近づいて再び私に迫る。それは吐き気を催すほどの不快感で、私は言葉を発することができなかった。

しかし結衣は変わらずにこにこと無邪気な笑顔を浮かべたまま、私の顔を覗き込む。

「じゃあ…今回の宿泊はもしかしてリッツ?廉、宿泊券もらってたもんね。羨ましいなぁ♡」

−リッツ?宿泊券…?

そこまで考えて、私は思わず「あ」と小さく声をあげた。

点と点がようやく線を結び、すべてが白日の元に晒されたのだ。

−明日、金曜の夜。廉はあの女とリッツで密会する−

その考えはもはや想像ではなく、間違いのない事実だと思った。


「…美月さん、どうかした?大丈夫?」

結衣の声でハッと我に返った私は、慌てて作り笑顔を浮かべる。

気づけばぎゅっと唇を噛んでいたところを結衣に見られていなければいいが…。祈るような思いでアイスラテを口に運ぶと、誤魔化すようにそっと下を向いた。

しかしどうにも視線を感じ、顔を上げる。すると結衣は憐れみとも、同情ともとれる複雑な表情でこちらを見つめているのだった。

「美月さん。何か困ったことがあったら私に相談してね。私、廉には…美月さんと廉には、絶対に幸せになってもらいたいのよ」

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