2018.08.31
レストランとパウダールームのいい関係。 Vol.2ナパのワインとアートピースのような料理にため息。
『AZUR et MASA UEKI』
グルメ激戦区でもある西麻布で異彩を放っているのが、こちらの『AZUR et MASA UEKI』だ。フレンチの鬼才・植木将仁氏とカリフォルニア・ナパバレーの名門ワイナリー『AZUR WINES』がタッグを組み誕生したワイナリーレストランである。
植木氏といえば、南仏で修業を積み、帰国後は東京や軽井沢で数々の名店を手がけてきた海外からの評価も高いシェフ。そんな植木氏が、日本の食材と伝統文化をフレンチを通して伝えることが料理のコンセプトだ。
そこにカリフォルニアを中心とした最上級のワインを合わせ、極上のマリアージュを体験できるのがこの店の醍醐味である。
店は西麻布の交差点から徒歩2分ほどの静かな裏通りに立地。外観は一面ウッドの壁で、店内の様子が伺えないことに、逆に期待感が高まる。
■ワインの貯蔵庫を模した、コンセプチュアルな空間。
店内に入ると、まずはウェイティングスペースに通される。そこは、ワインの貯蔵庫をイメージした空間で、コバルトブルーのチェアがウッドのアーチと絶妙にマッチ!
なぜ青を選んだかといえば、『AZUR WINES』の醸造家が南仏生まれであり、ナパのワインハウスでも青が多用されているから。コート・ダジュールの代名詞である色の青が、ナパを経由して東京にも引き継がれているのだ。
低めのチェアーに腰かければ、あたかもリゾートにいるような寛いだ気分に浸れるだろう。秋になれば暖炉が灯り、花器には大きな木が設えられ爽やかな緑に癒やされる。
店全体がワインカーヴをテーマに作られていることもあり、古木や石も駆使され、どこか温かみさえも感じる。
■ゲストが驚く料理の数々。アートピースのような一皿
さて、いよいよ料理を見ていこう(すべてアズールコース 11品¥15,000から)。
最初にテーブルに置かれたアミューズ「陽光きらめく中で」は、なんと盆栽!もとい、実は本物のブドウの木で、食べるのは実としてついている部分のみだ。
ブドウの実を収穫するように手でつまんで口に入れると、それはヴィシソワーズとコンソメのゼリー。このように、全メニューに料理のストーリーを表すこのようなタイトルが書かれ、食べるものの想像力をかきたてる。
そして植木シェフのスペシャリテのひとつが、次にくるその名も「甘美なる憂愁」。フォアグラのキャラメリゼや海老、チョコレートなど異なる甘みを含む7つの食材を並べ、すべてを一緒に食べることで五味が口の中に広がるという逸品だ。
そこに『AZUR WINE』のロゼを合わせることこそ序盤のハイライト。口内でロゼが食材に寄り添う瞬間に、舌も心も喜ぶ!
次に提供される「鮎のコンフィ」は、まさかの紙の上に登場!テーブルと一体化する紙にのせることで、鮎がまるで泳いでいるようだ。ソースは鮎がとれた天竜川近隣の森に実るブルーベリーや蓼(たで)の実から作っている。
鮎と交互に「カリフォルニア・サンタバーバラ」のリースリングを口に含めば、青りんごのような爽やかさが鮎の苦味と重なり、これぞ夏の口福といったマリアージュだ。
さすがワイナリーレストランとあって、すべてのペアリングが秀逸。比較的エレガントなワインを選び、過度な掛け算は決してしない。
「料理にストーリー性をもたせるほかに、名残と旬のはしりを意識しています。素材の情景が思い浮かぶようなお皿にしたいですね」と植木シェフは話す。
■円のイメージで統一された空間が料理の余韻を一層強くする
店内のアートは、オーナーがナパの丘や降り注ぐ太陽をイメージしてデッサンをし、左官職人が仕上げたオリジナル作品。このアート作品にも踏襲されているが、店内をよく見るとラウンドされた造りが多い。
テーブルからアートまで、目につくものが丸みを帯びているため、柔らかな印象を与え、リラックスするから料理をより美味しく感じられる。
奥のアートの先にはパウダールームがあり、こちらはシンクを含む個室という珍しいタイプで、気兼ねなく身だしなみを整えることができる。
パウダールーム内もラウンドデザインが特徴的で、優雅な気分が途切れることがない。丸みを帯びたデザインは、どこか安心感を感じる。
室内にはオーガニックのハンドローションやマウスウォッシュ、ルームフレグランスも置かれ、女性にとってのポイントも高い。
そういった細部にまでホスピタリティとセンスのよさが感じられ、自分が特別なゲストといった気持ちになれるのがこの店のサービスの真骨頂。
すべては、美しきイノベーティブ料理とワインを存分に楽しんでもらうため。結果、訪れる者は、西麻布という都会のど真ん中にして、非日常的な夜を過ごすことができるのである。
この記事で紹介したお店
アズール エ マサ ウエキ
【レストランとパウダールームのいい関係。】の記事一覧
おすすめ記事
- PR
2018.07.19
レストランとパウダールームのいい関係。 Vol.1
テラスが気持ちいい店は、すべてが最高な店だ!東京が誇る3大テラスを徹底取材!
2022.12.25
【予算3,000円~】ホームパーティーや贈り物で、きっと喜ばれるワイン11選!
2019.06.01
今さら聞けないワインの基礎知識
暑い夏は爽やかなワインがいい!リゾート地生まれのワインは試す価値大アリだった!
2015.03.03
駆け出し編集・守屋の教えて 今宵の美食モンスター♡
16種試して掴んだ、イスラエルワインの味
ワインは好きです。ただ、何が好き?と聞かれると「赤の......」から先がなか...
2022.12.28
ワイン選びが楽しい!食事の後に手土産も買える、ワインショップ付きレストラン3選!
2015.07.15
冷えたスパークリングと夜風が最高!熱帯夜デートは東京湾クルーズで
2015.07.05
柳忠之のコスパ最強! 一目おかれる、お値打ちワイン
世界に誇れる、日本人の白ワインが遂に登場!
2015.09.28
ワイン愛好家に捧ぐ!評論家が絶対お奨めの安旨ワイン厳選9本
2024.09.19
名作『アルプスの少女ハイジ』の実写映画には、スイスの大自然を感じるワインを合わせて
2023.03.17
【ほろ酔いシネマVol.2】『シェイプ・オブ・ウォーター』を日本ワインを片手に考察!
東京カレンダーショッピング
『かに物語』:〆まで楽しめる雑炊の素付き!蟹の旨みがたっぷりと溶け出すかに鍋セットミニ
『肉のABCフーズ』:黒トリュフ塩付!牛タン&A5ランク黒毛和牛を使った極上ハンバーグ
『東京京橋おばんざい醸』:肉を引き立てる3種の塩!A5黒毛和牛を使ったローストビーフ
『かに物語』:海老・帆立・蟹!ベシャメルソースに、各種海の幸をトッピングした贅沢グラタン
『UMIKARA』:薄切り・厚切り食べ比べ!特製出し汁で味わう若狭湾真鯛の鯛しゃぶセット
『パンツェロッテリア』:具材ごろごろボリューミー!フレッシュな野菜と肉感満載のフライドピッツァ
『オリベート』:黒トリュフ香る、口当たりクリーミーな究極のティラミス
『ミホ・シェフ・ショコラティエ』:日本を代表するショコラティエ―ルが作る、 ショコラ好きのための濃厚ガトーショコラ
『LOUANGE TOKYO』:アート感溢れるビジュアル!口溶けなめらかな大人の生チョコレートエクレア(6種)
『ル・ボヌール 芦屋』:しっとりサクサク!フリーズドライ苺にホワイトチョコをたっぷりと浸透させた新感覚スイーツ