2018.10.01
見汐結衣、27歳。
男性なら誰しもが放っておかない美貌をもつ彼女には、あるコダワリがあった。
それは、デートに誘われても、“本当に”美味しいレストランにしか現れない。彼女の舌を満足させるような男性としか、会わないのである。
しかしそんな彼女の価値観を覆す、ある男と出会って…?
「結衣ちゃん、今週末ご飯に行かない?」(真島)
「結衣ちゃんの好きそうなフレンチ見つけたよ、いつ空いてる?」(tanaka)
定時の18時にさしかかろうとしたとき、カバンの中に入れてあったスマホが小さく着信を告げる。気づけばLINEが何件か溜まっていた。
週の始まりである月曜は特に、週末の予定を決めたがる男たちからの連絡で、結衣のスマホはいつもより賑やかになるのだった。
しかしそのどれにも返す気にならず、結衣は小さくて形のよい唇でふぅっと息をつきながら、窓の方に視線をやった。
―もうすっかり秋だなぁ…
オフィスビルの合間から見える空が、いつの間にかとても高くなっているような気がする。
結衣は、今年で27歳。大手保険会社の一般職だ。
都内の私大を卒業後、いまの会社に新卒で入社した。きちんと仕事を終わらせれば定時で帰れるし、ボーナスもしっかり出るので、いまの仕事は概ね気に入っていた。
また少し勝ち気な性格とは裏腹に、白くてしっとりとした肌に濡れたような大きな瞳、そして艶のある黒髪を持つ結衣は「清純派」という印象を与えるようで、男たちからのアプローチは常に絶えなかった。
恵まれた容姿と環境でのびのびと育った結衣は、自ら何かを強く欲するということはほとんどない。ただ、ひとつを除いては―。
明日の会議に使う資料が人数分あるか確認し、結衣は席を立つ。時刻はちょうど18時。今日もきっちり定時にオフィスを去ろうとすると、スマホがまたぶるっと震えた。
LINEの相手は、友人の真奈美だった。
「今度お食事会があるんだけど、来れない?結衣の好きなトリュフのお店にするから」
結衣はそれを見て、思わず口元を緩める。男性たちから来ていたLINEのことは、すっかり忘れていた。
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