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煮沸 Vol.4

親から子へ引き継がれる“負の連鎖”。襲い掛かる不幸に、目覚めてはならない人格が覚醒する

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「恵一…」

しゃがれ声の父が私の名前を呼ぶ。


「大輔を返しに来た」




ージジ…ジジジジ…

頭の中で蛾がさえずる。

「…橋上さん?」

弁護士の声が聞こえる。


「橋上さん!」

濁った水槽のように視界がぼやける。


......


この記事へのコメント

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No Name
スーツの人になれって言ったのは、増田みたいになれってことだったんですね。お金持ちのお坊ちゃんの青いお遊びに付き合わされてるとも知らずに、自分の身体を犠牲にしてまで闘争に明け暮れて、最後に裏切りを知った鬱憤を優しい旦那や子供で晴らし、挙げ句シンナーまで。時代の犠牲者かも知れないけど、それを子供にまで背負わせるのは酷すぎる。
しかも恵一は、大輔以外にも人格発症してるし。お父さん、お母さんが寝てる間に、
恵一を連れて出ていって上げれば良かったのに。哀しすぎる…

そしてこの小説、書籍化すれば、何か賞とりそう。
2018/08/23 06:4399+Comment Icon12
No Name
やっぱりこれ次元が違うわ。
暗いけど、面白すぎる。

君江にどうやって勝つんだろ〜
2018/08/23 06:0299+Comment Icon8
No Name
今回も面白いです。
前話のコメントで三重人格とありましたが当たりでしたね。
そして今日も出てきたネルシャツ。
1人目の流産か死産した子が大輔だったんですね。
学生運動が絡んでくるとは思ってなかったー。なるほどそういう時代背景。
伏線回収もプロットもしっかりしてるしこれは本当に書籍化して欲しいと思うほどレベル高いです。
お父さんも恵一も救われて欲しいなぁ。
2018/08/23 07:0399+
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煮沸

【11月23日(土)『煮沸 第二章』配信が決定!】

(あらすじ)
凄惨極まる少年期により解離性同一性障害(多重人格)に陥った男。
さらに男には、考えられない「特殊な能力」が備わっていたー。

昭和から平成へと受け継がれた「社会の負の遺産」により産み出された、最悪の怪物 ”橋上 恵一” 。

恵一により繰り返される数々の凶行、そして手記により徐々に明かされるおぞましき過去。
やがて物語は、決して予想できない衝撃の結末を迎える…!

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