おかわり!新米いただきます Vol.1

カンダ

かんだ

白米とは日本人の原点であり、日本料理の終着点――

ミシュランガイド東京版で三ツ星を獲得する元麻布『かんだ』。秋のとっておきが新米による土鍋ご飯

今から2000年以上も昔、中国大陸から伝来した稲作文化。神話の世界では、天孫降臨の際、天照大御神が三大神勅のひとつとして稲穂を授けられたとされている。

そう、米とは、我々日本人にとって単に“主食”というだけの存在ではなく、日本人が日本人としてあるためのアイデンティティ、魂の拠り所といってもいいだろう。時はまさに新米の季節。その真髄を味わいに、米に関しては一家言を持つ料理人『かんだ』の神田裕行氏の元を訪れた。

「新米の季節になると、コースの〆は土鍋で炊く、炊きたての白飯と梅干し。これがウチの定番です。米そのものの旨みをストレートに味わってもらいたいからね」

そう語る神田氏肝入りの米は、新潟県南魚沼郡塩沢町のコシヒカリ。減農薬に取り組む鈴木清さん、有機栽培で環境にも配慮した米作りを営む今井守夫さんと、ふたりの信頼できる生産者から直接仕入れている。それも現地まで足を運び、自らの目と舌で納得した上で取り寄せているこだわりぶりだ。はさがけにし、天日干しにした米は、水分がゆっくり抜けていくため旨み豊か。

「新米の魅力は味の透明感。甘みが強すぎるわけではなく、オイリーでもないけれど、旨みがギュッと詰まった感じがする。スッキリしているのに後味の余韻が長いんです。ことに鈴木さんの米は雑味が少なく、山奥の湧き水の甘さにも似た自然な甘みがありますね」

そんな新米の瑞々しさを味わってもらうため、米の中に含まれている水分を閉じ込めるように炊きあげるのが、神田流。

「米をポシェする感覚かな。釜の周りのご飯が、まだ重湯のような状態で仕上げる。ウエットな炊き上がりにするわけです。で、ニヤニヤっとした柔らかな重湯の部分を素早くすくって提供する。瞬間の甘さを味わって欲しいんです」

そう言いつつ釜のふたを開ければ胸をすくような精粋な香りが鼻先をくすぐり、米はひと粒ひと粒がピカっと輝いている。なるほど、確かに釜の周囲の米はまだしっとり。水分を十分に含んでいるような潤いを感じさせる。そしてひと口。舌に優しく広がる無垢な甘みは、まさに米の上澄み。

米のエキスだけをすくいとったかのようなフレッシュでいて深い味わいに、思わず溜息が漏れる。塩さえも無用。そう思わせるほどの味わいは、まさに新米ならではだ。神田氏曰く、「旅の最終目的地が家であるなら、米は日本料理の終着点」そして、日本人の原点でもある。


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