東京の至るところで目撃される、婚活モンスター。
他をも圧倒するほどのこだわり。
時としてそれは、人をモンスターに仕立て上げる。
結婚へのこだわりが強いばかりに、モンスターと化してしまう、婚活中の女たち。
あなたのまわりにも、こんなモンスターがいないだろうか…?
「乾杯!!」
シャンパングラスに注がれた冷たい“泡”を、男女が美味しそうに喉に流し込む。
金曜日、彼らは平日に溜まった鬱憤をこの夜に吐き出すのである。
真理子が、咲からこの食事会に誘われたのは、ちょうど2週間前のことだった。
◆
「真理子、18日の金曜は空いてるよね!食事会に行かない?」
仕事終わりだったからか、咲はいつにもましてテンションが高かった。
「空いてるけど…彼氏出来たし、もう食事会はちょっとなぁ」
大手町にあるIT会社で働いている27歳の真理子と咲は、同期入社で当時から仲が良い。
咲はすらりとした長身美人。大学生の頃はミスに選ばれ、入社してすぐの頃は社内でも話題になった。
「人数合わせということで、お願いします!彼氏に何か言われたら、私が無理やり誘ったって言うからさ。本当に、助けると思って、お願い!」
咲に大げさなほどに頭を下げられて、真理子は「うーん」と口を尖らせた。
真理子は3ヶ月前に彼氏が出来てから、食事会には一度も行っていない。
わざわざ行きたい理由もないし、彼が居ながら他の男性に愛想を振りまくのも億劫に思えた。しかし、咲とはこれまでも、持ちつ持たれつでやってきた。
それにちょうどその日は、彼も接待が入っていると言っていたことを思い出してもいた。
「そこまで言うなら…でも本当に、今回だけだよ?」
真理子が渋々頷くと、
「ヤッター、決まりね!この恩は忘れないから。じゃあよろしくね〜」
と、咲は嬉しそうにロッカールームを去った。
今日も食事会に繰り出すのだろう、そう思わせるような淡いピンク色のワンピースを、ひらりとなびかせながら。
そうして真理子はこの食事会で久しぶりに、モンスターと化した咲の姿を見守ることになるのだった。
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