まだ付き合いの浅いふたりを盛り上げるのは、「こんな場所に!?」という驚きのある隠れ家店だったりする。雑居ビル内で看板もない。入店前からのそんな意外性が、ふたりに吊橋効果のような一体感を与えてくれるのだ。
闇に浮かぶ白木カウンター、こんな空間が雑居ビルにあった
『中目黒いぐち 上ル』
店の住所に着くと、そこは猥雑な雑居ビル。看板もなく、階段を3階まで上がってもそっけない鉄扉があるだけだ。しかし、その鉄扉の奥こそ、『中目黒 いぐち 上ル 麻布十番店』。
暗闇に白木のカウンターが浮かびあがる和モダンな空間が広がり、雑居ビルからのギャップは凄まじい。
カウンターに腰をおろせば、先ほどまでの迷子のような不安が一気に安堵へと変わる。その瞬間、もう緊張はない。
通常、天ぷら屋は照明が明るいものだが、ここは暗い。壁、床、椅子がすべて漆黒なため、いっそう暗く感じるのだ。
この暗さはオーナーの「お酒を飲んだ女性の顔が赤くなっても分からないように」という気づかいであり、事実、女性が見せたくないモノをしっかり隠し、艶やかさを倍増させる。結果、彼女のリラックスに繋がり会話も弾む。
BGMはなく、天ぷらが揚げられる音と客のお喋りだけがしっとりと店内に響く。
そんな空間で少量多種の23品の天ぷらをお酒とともにいただけば、中盤にはふたりの間の温度が上がっている。
カウンターの下で手を繋いでも、大胆な発言をしてもここでは目立たない。「仲良くされているお客さまは多いですね」とは店主の証言だ。
入口すら分かりにくいような雑居ビル
十番が使えてこそ、大人です。
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この記事へのコメント
上ルも、いいが米ルもいい‼️