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  • 二人の間で揺れる花嫁 Vol.1

    二人の間で揺れる花嫁:彼からのプロポーズに幸せいっぱいだったのに…。花嫁を惑わせる男の出現



    週末は真子の両親に挨拶へ行ったが、帰り道、圭一は落ち込んでいた。

    真子の父は、挨拶に来た圭一に終始むすっとして、一向に目を合わせようとしなかったのだ。真子が少し腹を立てながら「お父さんも何か話してよ」と言うと、圭一に面と向かってこう言った。

    「何だか…君は、頼りない男だな」

    昔から歯に衣着せぬ物言いをする真子の父は、少年のような性格をしており、好き嫌いがはっきりしている。一人娘である彼女を嫁に出すのが寂しかった、というのもあり、圭一にいい顔をしなかったのだ。

    「ごめんね…。父があんな態度をとって」

    「いや…。もっとお義父さんに気に入ってもらえるよう、頑張らないとな」

    そう言った圭一の横顔は、心なしか疲れているように感じた。最近仕事が忙しいと言っていたから、そのせいだろうか?

    「そう言えばさ、結婚式どうしようか?どこでやる?」

    真子は明るい話題に変えようと、話をふった。

    「結婚式か…。僕、できればやりたくないんだ…」

    圭一の言葉に、思わず「えっ?」と聞き返した。結婚式をやりたくない、と言われるとは思っていなかったのだ。

    「やりたくないって、なんで?」

    「うーん…。結婚式ってさ、やる意味が分からないんだよね。僕たちのために、友人や会社の人達にわざわざ来てもらう割に、結婚式では全然話せなかったりするでしょう?自己満足のようで申し訳ないって思う。それに、準備も色々大変だって言うし」

    圭一のネガティブな発言に、真子は少し焦りを感じた。

    「でもさ、例えばハワイウエディングとかどうかな?人もそんなに呼ばなくて良いし、圭一ハワイ好きでしょう?」

    「うーん…。でもするとなると、親の意向が入ったり、結構色々と面倒だしね…。仕事も忙しいし、やりたくないんだ」

    真子はどうにか圭一に考えを変えてもらえないかと試してみたが、圭一は「でも」「だって」と、頑なに考えを変えようとはしなかった。


    圭一は普段、真子の言うことにきちんと耳を傾けてくれるので、聞く耳も持たずに否定されたことが、何よりも悲しかった。

    その日、真子は圭一と初めて大きな喧嘩をしたのだった。



    数日後。大学時代のサークル仲間と久しぶりに『TRUNK KITCHEN』で集まった。圭一のことで落ち込んでいた真子には気晴らしとなり、楽しい時間を過ごした。

    会が始まって1時間ほどして、先輩が店に入って来たある男性に声をかけた。

    「お、俊!久しぶりだな。お前、日本に帰ってたんだな」

    その声に、まさかと思い顔を上げる。

    …そこには、別れてから幾度となく夢にまでみた、宮崎俊の姿があった。

    NEXT▶5月16日更新予定
    忘れられなかった元彼の俊に会った真子は…?

    真子がチェックした「アールイズ・ウエディング」のインスタグラムはこちらから>>


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