通な人はもっている 5.住宅街の粋なすし処 Vol.3

スシショダイ ワタナベジュンイチ

すし初代 渡邉淳一

路地裏の“新天地”で成熟する江戸前の仕事

左.手前から鮪の漬け、熊本の小鰭、江戸前の穴子、40分かけて焼き上げるという玉子。写真の料理はすべて¥11,000のコースから

右.タコの桜煮。煮込む前に1時間もみこむ

付け台を取り払ったフラットなカウンターには効果的に照明が落とされ、さながら美しい舞台のよう。ここで研ぎ澄まされた“妙技”を披露するのは、店名にも堂々とその名を冠した渡邉淳一氏だ。

かつて店のあった緑が丘から祐天寺へと移転したのは今年の4月。最近では、どっぷりと江戸前の仕事に心酔しているという。そもそも、鮨の道を志したのは「自分の一生をかけてやりたい仕事だと感じた」から。大学時代はアメフトに打ち込み、就職活動にも励んだ結果、大手企業からの内定ももらった。でも、本当にこれでいいのだろうかと自問自答を繰り返すうちに、自分の目指すべき道はそこにないと確信したのだという。心が決まったときには、すでに銀座の鮨店の門を叩いていた。

「修業した店すべて江戸前できたわけではないが、ひと仕事加えることの大切さを感じる」と渡邉氏。緑が丘時代から、旬を意識した一品料理や丁寧な仕事が光る握りに定評があったが、その熱はますます高まっているようだ。鮪の漬けダレにしても、小鰭の締め具合にしても、求める答えに出合うまでは切磋あるのみ。成熟度が増していく姿を見守ることができる距離に店があることが有難い。


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