彼に必要なのは、“かわいい彼女”より“パートナー”?
「うーん...。陽介さんは確かに素敵な人ですけど、さすがに優柔不断すぎませんか?私、聡子さんにはワタルさんの方が合ってる気がしてきました...」
いつものランチタイムで、一連の話を後輩の志帆に報告すると、彼女は神妙な顔つきで呟いた。
「ワタルさんって明らかにモテそうだし、軽そうな印象がありましたけど、行動は誠実ですし」
それは、聡子も薄々感じていることだ。しかし如何せん、ワタルのことは恋愛対象として見れないのだ。
それからはなるべく、陽介のことで悩まないように仕事に励んでいた。
そんな矢先、聡子の元に、フランスにいる彼からようやくLINEが届いたのだった。
―聡子、元気かな?返信できなくて、本当にごめん...。
彼のメッセージは、珍しく長文だった。
あのとき返信できなかったのは、知美が出張準備を手伝うと言って突然陽介の家にやってきたからだったらしい。そしてその後はずっとベッタリと監視状態であったのだということを、長々と説明していた。
ー仕事も忙しいんだから、気にしないで。
聡子がすかさず返信すると、さらなるメッセージが届く。
―聡子は、本当に理解があるな...。実は、知美からは出張中もマメに連絡をするようにせがまれてて、少し疲れてたんだ...。
その文面には、確かに陽介の疲れが滲み出ている。
―今はとにかく仕事を最優先に頑張って!身体に気をつけて、無事に帰って来てね。また打合せでね。
聡子は、出張中の恋人の気遣いもできない知美に苛立ちを感じていた。
でもこれ以上は陽介の負担にならないように、短い返信に留める。きっと心身ともに疲れているだろうから、今はLINEなんかより、仕事に集中させてあげたい。
すると彼からは、意外な言葉が返ってきた。
―聡子...本当にありがとう。フランスから帰国したら、誰よりも一番に、真っ先に聡子に会いに行くから。
それを見て、聡子は一気に胸が熱くなる。
やはり、知美よりも自分の方が陽介にふさわしいのだ。彼に必要なのは、可愛いだけが取り柄の恋人ではなく、対等に仕事の話もできるパートナーに違いない。
今はとにかく陽介の会社とのプロジェクトを全力で成功させて、絶対に彼を振り向かせよう。聡子はそう決意した。それが今の自分にできる、自分らしい努力の形だ。
そうして聡子は、陽介の言葉を信じ、さらに仕事に励むのだった。
◆
―そろそろ、連絡が来るはず...!
その日も聡子は仕事に精を出し、忠実に陽介を待っていた。彼は一昨日の夜に帰国しているはずなので、今夜あたり連絡が来るだろう。
―今日は早く帰って、『ラブ』の続きでも観ようかな...!
今どきの恋愛模様を描いたラブコメディ『ラブ』は、ちょうど今の気分にぴったりだ。
そんな風に心躍らせていると、オフィスのビルのエントランスで突然声をかけられた。
「聡子さん」
聞き覚えのあるその声に、聡子の身体はピクッと反応する。
「ちょっと、話があるんです」
そこで聡子を待ち受けていた人物は、なんとあの知美だった。
▶NEXT:5月10日 木曜更新予定
知美は、陽介略奪を阻止するためにやって来たのか...?!
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■撮影協力:『アスコット丸の内東京』