裏切られた妻たち Vol.12

浮気発覚後、一度は前向きに考えた夫婦関係の再構築。しかし“裏切られた”事実は簡単には消えない

一見、何の問題もなく幸せそうに見える仲良し夫婦。

けれども彼らの中には、さまざまな問題を抱えていることが多いのだ。

仲良し夫婦だと思っていた北岡あゆみ(32歳)は、あるメールをきっかけに、夫である樹が浮気をしていると確信する。

あゆみは探偵事務所に依頼し、浮気の証拠を手に入れる。それを元に、あゆみは樹と話し合い、浮気相手と別れたことを知ったのだった。


「彼女とは、その写真の時に別れたんだ」

樹に不意に言われたその言葉に、どう反応して良いのか分からずに、あゆみはしばし固まってしまった。

探偵事務所に頼んで浮気の証拠を抑え、やっと夫の樹に自白させることができた。しかし、もう別れたと言われても…

「そんなこと、どうでも良い。浮気したのは事実でしょう?それにもう、本当かどうかも信じられない…」

緊張の糸が切れたのか、我慢していた涙が一気に溢れ出した。それを見た樹は、ただ下を向いて「本当に、ごめん」と謝るばかりだった。

一度崩壊した涙腺は簡単には止まってくれず、その間、沈黙が二人を襲う。樹は自分から何かを言おうとしない。本当に、ずるい男だ。

「ねぇ、どっちから?どっちから先に誘ったの?」

あゆみの質問に目線を下に向けたまま、樹が答える。

「俺から…誘った…」

その言葉に、あゆみはソファに置いてあったクッションを投げつけた。

「どうして、そんな酷いことができるのよ…!?」

相手の女性から言い寄ってきてくれた方が、何倍も良かった。

「本当に、悪かった。あの時はどうかしていた。あゆみが、こんなに傷つくなんて、想像できていなかった…。彼女の離婚が決まって、喪失感で崩れ落ちそうになる姿を見て、思わず…」

樹の言葉に、あゆみは「そんなこと、聞きたくない」と耳を塞いだ。

「その人は、樹が結婚しているって分かっていたのよね…?」

「分かっていたと思う…。けれど、彼女は悪くないんだ。俺が悪いんだ。」

こうなっても尚、その“彼女”を庇おうとする樹に、心底腹が立った。

「ほんと…信じられない…。樹は、今でもその人のことが好きなのね…」

「いや、それは違う!」

珍しく樹が大きな声を上げた。その声にあゆみは一瞬面食らい、言葉が出なかった。

【裏切られた妻たち】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo