サイコパスな夫 Vol.3

108本の薔薇と突然のプロポーズ。サイコパス男との幸せ絶頂期は、破滅への第一歩だった・・・

東大出身/外資系証券会社勤務/身長185cm/イケメン

このスペックを見て、あなたは何を感じるだろうか。

え?…ハイスペ男子?

あぁ、世間ではそう持て囃されているみたいね。しかもその人、爽やかで優しくて気が利いて、笑顔がとっても素敵みたい。

そんな完璧な人間、出会ったことある?
いたら、結婚したい?

やめておいたほうが、身のためだわ。

完璧な人間なんてこの世に存在しないのだから。もし存在するとしたら、その人は…“サイコパス”かもしれない。

完璧な男に出会ってしまった希は、麻也子の後押しもあり、椎名歩とデートへ。彼氏がいると告げるも、予想だにしない反応をされ徐々に心を奪われていく。


「話があるの」

そう一言、彼氏の拓也に送ったのは、椎名歩と4度目のデートを終えた日だった。

毎週デートを重ね、毎回必ず23時には家に送り届けてくれる椎名歩の律儀な紳士ぶりに、私は正直物足りなさを感じていた。

―椎名歩と、もっと一緒にいたい。

自分の気持ちに気づいた私は、意を決して拓也にメールを送った。するとやはり何かに勘付いたのか、珍しく秒速で返事を返してきた。

「今から会おう」

…もう、23時を回っているというのに。

男という生き物は、やる気を出すとすぐに飛んでくる。その熱い情熱を持ち続けてくれればいいのに、そんなものはあっと言う間に薄れてゆくのだ。

家以外で会うのなんて、何ヶ月ぶりだろうか。

指定された場所は西麻布の『アッピア・アルタ』。初めて私の誕生日を祝ってくれた店を選ぶなんて…情に訴えかけられるようで怖かった。

0時過ぎ、活気が過ぎ去ったアッピアで、デザートワゴンを眺める。ズラリと並んだ贅沢なデザートを見ながら、ティラミスを1つだけ頼んだ。

「のんちゃん、ティラミス好きだよね」

拓也は能天気に微笑んだ。このゆったりとした馴染みのある落ち着く雰囲気に後ろ髪を引かれたものの、姿勢を正して、用意してきた言葉を呟いた。

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