2018.03.19
バツイチ男の恋愛事情 Vol.4「こんばんは」
そこに立っていたのは、綾子だった。いつものように上品なタイトスカートを履いている。ただひとつ違うのは、彼女がどうやら一人で来たらしいことだ。
「藤本さんにお会いできるかなと思って、初めて一人で来てみました」
綾子はそう言って、やはり当たり前のように藤本の隣に座ると、前回と同じモヒートを頼んだ。
「私ね、昨日気づいたんですけど、Facebookの『知り合いかも』に藤本さんがいたんです。共通の友人が何人かいるみたいで」
そう言って、藤本の知人である数人の名前を口にした。綾子はPR会社で働いているというだけあり、顔が広いらしい。
「むしろ私たち、今までお会いしてなかったのが不思議なくらいですよね?」
綾子は、いたずらな笑みを向けてきた。まるで、ずっと前からの知り合いのように、屈託のない笑顔。
媚びる風でもなく、サバサバとそんなことを言う彼女に、藤本はさらに好感を持った。
実は藤本は、妙に『女』を出してくる女性が苦手である。その点綾子は、「人として対等に話そう」とする姿勢が感じられるのだ。
1週間を、こんなに長いと思ったのは久しぶりだった。だからだろうか。
藤本は自分から女性を食事に誘うことは滅多にないのだが、この日気づけば、藤本の方から次の約束を取り付けていた。
◆
綾子との約束の日、藤本は仕事を終えて自宅に戻ったがシャワーを浴びるほどの時間はないため、カバンから『Kunkun body』を取り出して耳の後ろにかざした。
スマホに表示された結果を確認すると、髪を整えてミネラルウォーターを1杯だけ飲んで家を出た。
予約していたのは、広尾にあるワインバー。
シャンパンで乾杯すると早速白ワインをボトルで頼む。綾子は今日仕事で起こったというちょっとしたパプニングを、綺麗な声で楽しそうに話してきた。
だが藤本は少しだけ上の空で、あるタイミングを探っていた。
離婚してからというもの、こうして女性と二人で食事に行った時など、どのタイミングで自分がバツイチであることを言うのが正しいのか、藤本は未だにわからないのだ。
唐突に「実はバツイチなんだけど…」と言っても、自意識過剰な男に思われるかもしれない。かと言って言わないままでいるのも、なんだか居心地が悪い…。
人は人を好きになるほど、臆病になる。
40歳を過ぎてもこんなことを考えている自分に、呆れている時だった。
「実は私、バツイチなんです」
突然の言葉に、藤本は耳を疑った。綾子の言葉とは思えなかったが、確かに彼女がそう言ったのだ。
「なんだか、早めに言っといた方が良いかなと思って。あ、でも自意識過剰だったらごめんなさい」
綾子は、恥ずかしさをごまかすように笑った。
「いや、驚いたよ。実は僕もバツイチで…、どのタイミングで言えばいいのか迷ってたから」
つい、情けない本音が口から出た。
すると綾子に「えー、仲間じゃないですか!」と明るく言われて、藤本は小さいことで迷っていた自分が馬鹿らしく思えてきた。
離婚した当初は、もう恋愛なんてしばらくゴメンだと本気で考えたり、バツイチ男を選ぶ女性もそう多くはないだろうと思っていた。
だが仕事も恋愛も、ある日突然状況が変わることがあって、人はそれをチャンスと言う。
チャンスは、唐突に訪れる。いつでもそのチャンスを掴めるように準備している男が、東京で生き残っていくのだろう。
ワインで少し赤くなった顔で、楽しそうに笑う綾子を見ながら、藤本は久しぶりに満たされた気分を味わうのだった。
Fin.
藤本が綾子とのデート前に使っていたKunkun bodyの詳細はこちら!
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コニカミノルタ社 Business Innovation Center(BIC)開発の『Kunkun body』をプレゼントいたします。
<回答期間:2018年3月12日(月)~2018年3月26日(月)>
撮影協力: 『bills 銀座』
■衣裳協力:P1、P2男性:ジャケット¥52,000 パンツ¥20,000〈ともにD/him/フィルム03-5413-4141〉シャツ¥8,800〈ユニバーサルランゲージ/ユニバーサルランゲージ たまプラーザ テラス店045-905-1861〉チーフ¥2,800〈ザ・スーツカンパニー/ザ・スーツカンパニー 銀座本店03-3562-7637〉その他スタイリスト私物/女性:ワンピース¥22,000〈ホワイト ザ・カンパニー/ ホワイト ザ・スーツ カンパニー新宿店03-3354-2258〉イヤリング、ネックレスセット¥252,000〈アビステ03-3401-7124〉P3男性:シャツ¥7,800〈ユニバーサルランゲージ/ユニバーサルランゲージ たまプラーザ テラス店045-905-1861〉
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