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  • バツイチ男の恋愛事情 Vol.4

    バツイチ男の恋愛事情:誘惑か、それとも…?バーでよく会う美女に、かき乱される男の本音

    東京には、結婚したことを後悔する者はいても、離婚したことを後悔する者はいない。

    3組にひと組が離婚すると言われている現代。

    すなわち、バツイチ人口が増えているということでもある。

    それに伴ってか、「バツイチはモテる」と囁く男女は多いが、果たしてその実態とは?

    1年前からバツイチとなった藤本直人(42歳)。彼の私生活に迫り、バツイチ男の恋愛事情をお届けしよう。

    前回は14歳年下美女と、それまでで一番長い夜を過ごした藤本。さて、今回は…?


    「あれ?藤本さん、今夜は早いですね」

    藤本の顔を見るなり、バーテンダーの田崎はグラスを磨く手を止めた。

    「うん、たまたまね。いつもの、ウィスキーちょうだい」

    カウンターのいつもの席に座りながら藤本が言うと、田崎は「かしこまりました」と言って温かいおしぼりを藤本に差し出す。

    藤本は手を拭きながら、不自然にならないよう店内をぐるりと見渡した。

    —今日も、いないか。

    そんなことを思って少しがっかりしている自分に気づき、藤本は自嘲気味に笑った。

    「どうかされましたか?」

    田崎に聞かれて、藤本は「いや、なんでもないよ」と短く答える。

    ここは、藤本が週に2回は通っているバー。愛宕の自宅からタクシーで5分ほどの場所にあり、離婚して一人暮らしを始めた頃から通い始めた。

    シックで落ち着いた店内には小さく絞られたボリュームでジャズが流れており、そう広くはないがカウンターの他にソファ席もあり、なかなか居心地の良い店だ。

    この店でウィスキーを1〜2杯飲むと、仕事の緊張感から解放されてリラックスできるため、会食の後に一人で立ち寄ることも多い。

    だが最近は、藤本がこの店に来る理由はそれだけではなかった。

    いつの頃からかこの店に来ると、ある一人の女性の姿を探すようになっていたのだ。

    彼女の名は、綾子。

    とても綺麗な声で話す女性だ。

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