金より愛子 Vol.13

「開業医の妻」の座をようやく手に入れた女の大誤算。身分不相応な結婚の代償とは?

結婚に必要なのは、お金or愛?

それは、女にとって永遠のテーマである。

“最後は愛が勝つ”と信じたくてもそれは理想論だということに、女たちは徐々に気づいていくのだ。

しかし「お金より愛が勝つ」と言い切る、ある女がいた。

その名は、愛子。

金に目がない女だらけの東京において、愛子は信念を貫き、幸せな結婚生活を勝ちとれるのか?

広告代理店で働く29歳の愛子は、婚約者の知樹と幸せな毎日を過ごしていた。

一方、同時期に医者との結婚を決めた親友の明日香は、御曹司・翔太が愛子に好意を抱いていることに気がつき、愛子をそそのかす

そして愛子は、ついに翔太からプロポーズをされたのだった。


「公平、あなた顔色が悪いわよ。体調は大丈夫かしら?」

公平の母親が、マンションに着くなり開口一番に尋ねた。

「熱はないかしら」と言いながら、まるで小さな子供にするかのように、息子のおでこに手をあてている。明日香はそれを見て、顔が引きつりそうになるのをぐっと堪えた。

今日は、公平の両親が和歌山からやってきている。公平が「少し疲れているんだ」と答えると、母親は心配そうに息子を見つめたあとで、明日香にちらりと一瞥をくれた。

さっきから明日香はニコニコと笑顔を浮かべ挨拶をしているというのに、それにはろくに返事もしないままだ。そして目を釣り上げ、こんな言葉を口にした。

「明日香さん。あなた、きちんと公平の体調管理はしているの?」

「はい…すみません…」

明日香はペコペコと頭を下げながら、心の中で悪態をつく。

—医者なんだから、体調管理なんてお手の物のはずじゃない…。なんで私のせいなのよ…。

「あなた、いずれ開業医の妻になるというのがどういうことかわかっているかしら。公平を全力で支えるのが、明日香さんの務めなんですよ」

公平の母は、はじめて挨拶に伺ったときからずっとこんな調子だ。

そもそも両親は、息子が連れてきた婚約者が医者の家系の女ではないことが心底面白くないようだ。それは明日香にとって、まるで自分の両親を馬鹿にされているかのようで不快だった。

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