男なら誰だって、あらゆる女性を口説いてみたい。
きっと心のどこかで、そう考えたことがある男性は、少なくないはずだ。
早稲田大学理工学部を卒業後、外資系大手IT企業に勤務する奏太も、その内の一人。
これまで自分のモテレベルは人並みだと思っていた奏太だが、20代で寝食忘れて仕事に没頭し、30代で再び恋愛市場に返り咲いた頃、あることに気づいたのだ。
―あれ…意外に俺ってモテるのか?
1度そのことに気づいた奏太は女性を落とすのが楽しくなり、自分の頭脳を駆使してあらゆる職業の女性達を口説こうとする……。
奏太はいかに、一筋縄ではいかない東京女子たちを口説くのか?その方法を、伝授しよう―。
「~♪♬♩」
聴き慣れたメロディが機内に響く。
大手日系エアラインで搭乗中に流れるこの音楽を聴くと、既に日本へ帰ってきた気持ちになり安堵する。
外資系大手IT企業の開発職として働く奏太は、シリコンバレーのスタートアップベンチャーと提携するためのカリフォルニア出張から日本へ帰るところだ。
ー今回の出張もうまくいった。
海外では、国によってビジネスに対する文化や考え方が異なる。海外ビジネスにおいて英語力は当然必要だが、それ以上に文化の違いを理解し、相手によって仕事の進め方を変えることが大変重要になるのだ。
奏太は幼少期から両親がインターナショナルスクールに入れてくれたお陰で英語はもちろんのこと、海外文化に関する知見も深く、手慣れている。
離陸前の機内でタブレットとキーボードを出し報告書の作成を行っていた時、横から声がした。
「お客様、まもなく離陸しますのでテーブルを元の位置に戻していただけますか?」
奏太がふと見上げると、白い花のように清楚で気品溢れる女性がそこに立っていた。
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