金より愛子 Vol.8

金より愛子:200万減の年収<ワーク・ライフ・バランス?結婚直前の29歳女が直面した、究極の選択

結婚に必要なのは、お金or愛?

それは、女にとって永遠のテーマである。

“最後は愛が勝つ”と信じたくてもそれは理想論だということに、女たちは徐々に気づいていくのだ。

しかし「お金より愛が勝つ」と言い切る、ある女がいた。

その名は、愛子。

金に目がない女だらけの東京において、愛子は信念を貫き、幸せな結婚生活を勝ちとれるのか?

広告代理店で働く29歳の愛子は、婚約者の知樹と幸せな毎日を過ごしていた。

愛子は会社で見事プロジェクトリーダーに抜擢されるが、突然プロジェクトが中止となりショックを受ける。

一方、同時期に医者との結婚を決めた親友の明日香は、結婚式に全てのエネルギーを注ぐため早くも会社を退職してしまう。


「愛子。今年も“出世の石段”、登る覚悟はできてる?」

急勾配の石段を見上げた知樹が、ごくりと唾を飲み込んだ。

2018年の元旦。愛子は知樹と共に、愛宕神社に初詣に来ている。86段の階段を登り切ると出世する、と言われる“出世の石段”が有名な神社で、二人はここに新年のお参りにくるのが毎年の恒例行事となっている。

—出世、か…。

その言葉がちくりと小さく愛子の胸をさした。

2017年、やっとの思いで掴んだ“プロジェクトリーダー”の座。しかし、そのプロジェクトは運悪く白紙になってしまった。

「愛子、今年は何を願うの?」

石段を登りきった後で、社殿の参拝を待つ行列に並びながら、知樹に尋ねられた。

—昨年は仕事に始まり仕事に終わった一年だったわ…。今年は結婚もするし、少しは家での時間も大切にしたいなあ…。

12月の後半も仕事に追われ、あっという間に一年の終わりを迎えてしまった。そんな年末の出来事を、愛子はそっと思い返していた—。


プロジェクトが急遽中止となったことで、愛子が向かった先は、翔太のいる「ナッシェン」だ。コラボスイーツのデザインもパティシエとの綿密な打ち合わせにより既に決定し、発注も確定していたのだ。

「藤原さん、このたびは本当に申し訳ありませんでした…!」

翔太からある程度責められることも覚悟の上で深々と頭を下げる。しかし、翔太はにっこり笑って言った。

「愛子さん。今回は残念ですが、また別の企画の際にぜひ弊社をよろしくお願いいたします」

さらに、今回の件で費用は一切発生しないように処理する、とまで言ってくれた翔太に、愛子は心から感謝した。これまでのやり取りの中で「ナッシェン」との信頼関係は、しっかり築けていたようだ。

帰り際、ビルの玄関まで見送ってくれた翔太が、愛子に声をかけた。

「そういえば、今回の企画とは全くの別件なのですが、愛子さんに会わせたい人物がいるんです。急ですが、今夜お時間いただけませんか?」

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