銀座と麻布の隠れ名店 Vol.2

ソバ サスガ

蕎麦 流石

蕎麦を手繰る。酒肴で飲む。大人の愉しみを追い求めて

和紙や珪藻土など自然素材を多用した造り。テーブル席のほか個室、カウンター席がある

蕎麦屋に何を求めるかは人それぞれ。ただ1杯の蕎麦を望む人あれば、酒と酒肴でゆるりと過ごしたい人もいる。ここ銀座で、両者が垣根なく集い美味に耽るのが『蕎麦 流石』。生粉打ち極細麺の蕎麦、素材の吟味を重ねたつまみ、日本酒からシャンパンまで揃える酒、とそのメニューに隙はない。

神田『いし井』、修善寺『朴念仁』を経て、店主の藤田千秋さんが銀座の外れに店を開いたのは8年前。昨年秋、師である石井仁氏の店『古拙』の後を受け継ぐように、その跡地に移転した。そもそも、独立にあたり銀座を狙っていたわけではないと言う。フレンチや寿司ならここは勝負の地となりうるものの、蕎麦屋は地方に店を構え、わざわざ足を運ばせてなんぼの世界。

「でも、蕎麦ってそんなにすごいものじゃないと思う。何かのついでに、ふらりと立ち寄れるのが本来の姿かと」。都内の繁華街で物件を探し、たまたま巡り合えたのが、ここ銀座。

開店当初から蕎麦だけでなく1品料理にも力を注ぐのは、飲める蕎麦屋にしたかったから。江戸時代は居酒屋的に使われていた、原始の姿がイメージにある。とはいえ、蕎麦屋で長居は無粋という定説には否定的。蕎麦1杯でも呑兵衛でも、ゆっくりできる雰囲気作りに心を砕く。

食材は玄蕎麦から調味料に至るまで、愚直に品質の良さを追い求める生産者の手によるもの。
「その思いを共有したい」と藤田さんは言う。蕎麦を、食を、誰よりも愛する無垢な気持ちが、ゲストに心地よく伝播していく。

ひやかけそば¥1,000。冬でもオーダーが絶えない名物のひと品。梅おろしを入れると爽やかな味に

出し巻き玉子¥1,000。味醂の甘さだけで仕上げたドライな味に酒杯の傾くペースが上がる

桜海老のかき揚げ¥1,400。オープン時から一貫して由比直送の生桜海老を惜しげもなく使う

酒肴盛り合わせ¥1,000。柚子味噌に炒りたての実を合わせたそば味噌はシャンパンとの相性もいい

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