2011.11.21
銀座と麻布の隠れ名店 Vol.2蕎麦 流石
蕎麦を手繰る。酒肴で飲む。大人の愉しみを追い求めて
蕎麦屋に何を求めるかは人それぞれ。ただ1杯の蕎麦を望む人あれば、酒と酒肴でゆるりと過ごしたい人もいる。ここ銀座で、両者が垣根なく集い美味に耽るのが『蕎麦 流石』。生粉打ち極細麺の蕎麦、素材の吟味を重ねたつまみ、日本酒からシャンパンまで揃える酒、とそのメニューに隙はない。
神田『いし井』、修善寺『朴念仁』を経て、店主の藤田千秋さんが銀座の外れに店を開いたのは8年前。昨年秋、師である石井仁氏の店『古拙』の後を受け継ぐように、その跡地に移転した。そもそも、独立にあたり銀座を狙っていたわけではないと言う。フレンチや寿司ならここは勝負の地となりうるものの、蕎麦屋は地方に店を構え、わざわざ足を運ばせてなんぼの世界。
「でも、蕎麦ってそんなにすごいものじゃないと思う。何かのついでに、ふらりと立ち寄れるのが本来の姿かと」。都内の繁華街で物件を探し、たまたま巡り合えたのが、ここ銀座。
開店当初から蕎麦だけでなく1品料理にも力を注ぐのは、飲める蕎麦屋にしたかったから。江戸時代は居酒屋的に使われていた、原始の姿がイメージにある。とはいえ、蕎麦屋で長居は無粋という定説には否定的。蕎麦1杯でも呑兵衛でも、ゆっくりできる雰囲気作りに心を砕く。
食材は玄蕎麦から調味料に至るまで、愚直に品質の良さを追い求める生産者の手によるもの。
「その思いを共有したい」と藤田さんは言う。蕎麦を、食を、誰よりも愛する無垢な気持ちが、ゲストに心地よく伝播していく。
2011.11.21
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