恋の大三角形 Vol.4

恋の大三角形:深夜2時過ぎ、ようやく既読になったLINE。嫉妬に苛まれた女の狂気

私に足りないもの


「そう言えば繭子、聞いた?シバユカが寿退社するって話」

丸の内OLで賑わうランチタイムの『ローズベーカリー』。同じ不動産会社の秘書部で働く優奈が、おめでたい話題をまったくおめでたくない口調で告げた。

シバユカというのは、私たちと同じ秘書部で働く3つ下(26歳)の後輩・柴田有香のこと。

毎日、ワンピースまたはパステルカラーのふんわりスカートに身を包んで現れる彼女は典型的な丸の内OLで、ふわふわとしたしぐさや話し方がいかにもあざとい。

しかし話すと意外に頭が良く仕事もできるので、私と優奈は以前からシバユカのことを“やり手の女”だと噂していた。

「さっきお手洗いで会って聞いたんだけど、彼女、プロポーズも指輪も要らないって彼に言ったらしいわよ。結婚してくれるならそれでいい、って。で、貿易系企業の彼とともに、彼女は来年からニューヨークで駐妻ライフ。しかも結局、ちゃっかりエンゲージもゲットしてた」

「す、すごい…さすがシバユカね」

何より驚くのは、普段の彼女に計算高さが一切にじみ出ていないことだ。素直に感心してしまった私に、優奈は大げさにため息をつく。

「私、それを聞いてわかったの。つまり、私たちはいい子すぎるのよ。もっと計算高くならないと、小賢しい若い子にどんどんいい男を持ってかれちゃう。…洋平くんなんかモテるんだから、尚更よ?」

−小賢しい、若い子。

優奈の言葉が一瞬、脳裏でおぼろげな像を結ぶ。

「優奈、実はね…」

言いようのない焦燥感に駆られた私は、胸のつかえを吐き出すようにして、洋平の最近の異変について優奈に打ち明けた。


「怪しいわね」

私の話を聞き終え、優奈はあっさりとそう断言した。

「やっぱり?でも私、韓国だって言っちゃったから今さら嘘だなんて言えない。洋平に予定聞いたって本当のことを言ってくれるとは限らないし。とりあえずこのまま様子見するしかないよね…」

逃げ腰になる私に、優奈......


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