浅草で大人の粋を学べ Vol.4

これぞ正統派のホットケーキ!ふわふわ軽~い浅草の逸品はこれ!

「プレーンホットドック」(360円)。『ホームベーカリー中村』から仕入れる特注のパンは、小ぶりで、大きく反ったソーセージがより強調される!

迫力のビジュアル!ホットドッグも店主肝いりの品

同店がオープンしたのは12年前。お店を始めるとき、ホットケーキの他に、もうひとつ名物をと考えて作ったのが天国特製ホットドッグだ。しかし、浅草周辺でホットドッグ用のパンを作ってくれるベーカリーは、容易には見つからなかったという。そんななか唯一受けてくれたのが『ホームベーカリー中村』だった。

最初の頃は、本当に少量の注文だったにも関わらず、引き受けてくれたのは、上野さんが持参した『珈琲 天国』の企画書を見て「面白い」と思ったからだという。そんな奇跡の出会いから生まれた「プレーンホットドック」は、パンの両脇から飛び出るソーセージのビジュアルがインパクト大!まずはソーセージだけを食べ進めて、中心部でやっと香ばしいパンと一緒に食べられる。

上野さんは「死ぬ前に食べたいものはなんですか?」と言う問いに「ホットケーキ」と迷わず応えるほどホットケーキ好き。そんな彼女だからこそ、理想的なホットケーキを焼き続けることができるのだろう

新店が根付くのが難しい浅草という土地で、12年という年月営業を続けたことで「浅草のレジェンド」とまで呼ばれているという『珈琲 天国』。

彼女が店作りで大切にしたのは「インパクト」だった。ホットケーキの焼き印やお皿などに書かれる「天国」というワードも、そのひとつ。パラダイスのようなイメージもある上、一度聞くとなかなか忘れないキャッチーな言葉。そして、ホットケーキやホットドッグの間違いない美味しさ。それらが一体となり奇跡を呼んだのだ。

「天国オリジナルブレンドコーヒー」(550円)。飲み干した後、珈琲カップの底に注目。運が良ければ「大吉」が出るかも? ※大吉でもサービスなどはないので注意

『珈琲 天国』という場所のもうひとつの魅力

混み合う時間帯の『珈琲 天国』では、不思議な光景を目にすることがある。どう見てもスタッフではないご婦人が、混雑する店でササッと手際よく動き、空いた皿を下げて「じゃあね~」と帰って行くのだ。もちろん上野さんが頼んでいる訳ではない。

「ありがたいですよね。まだまだ十数年、浅草にやっと受け入れてもらえてきたかもしれません」と上野さん。店をひとりで切り盛りする彼女をそっと見守り、大変な時は助けてくれる。

混み合ってくると常連さんは自らお皿を下げて帰って行くので、それを見ていた一見さんもなぜか下げて帰っていくという光景もよく見られるそう

また、ある日開店準備をしていると老齢の女性グループがおり、お客様かなと出迎えようとすると会話が聞こえてきた。「ここでちょっと休憩しましょうよ」「いいわね」「あら、やだ。天国なんてまだ行きたくないわよ」この会話には、思わず上野さんも笑ってしまったという。

浅草に来たら寄らずにはいられない名店だ

他にも、浅草寺にお参りに来た初老の男性が奥様に「先に天国行って待っているわね」と言われ、ドキッとしたという話も。

このように、『珈琲 天国』で生まれていくエピソードは、浅草という場所に集う人のあたたかさと人間味を含んだものばかり。

立ち寄るだけでもほっこり癒され、ホットケーキで小腹は満たされ、店内の雰囲気でなんだか元気が湧いてくる。浅草巡りで、こんなにも得るものがある名店『珈琲 天国』をはずすわけにはいかないのだ。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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