渋谷で69年続く焼鳥店に、今でも毎日行列ができるってスゴくないですか

電話は昔ながら。ジリリリリと電話がなる。大体が「予約は取ってないので、直接きてください」という話


激しく変貌する街と客。ただ、いつも通りを貫徹

「昔はサラリーマンばっかり。けど、最近は若い方が増えたね。渋谷のホテルに泊まる外国人もフロントで聞いてやって来る。ホテルから電話もかかってくるけど、ウチは予約、受けてないから」

味も接客も、職人の技も、佇まいだって変わらない『森本』だが、昨今、客層は変わってきている。それは渡部さんも実感している。

最後に訪れた夜も、外国人女性が2人に壮年夫婦2組、会社帰りのグループは3組、若い男女の姿もあった。確かに客層は変わったのかもしれない。

けれど、皆、焼き立てをすぐ頬張り、無駄に長居することなく帰っていった。それは自然に伝えられてきた客としての作法。店に貼られた「とまり木をわれにもわけよ 夕雀」の精神。

渋谷でも若者が多いエリアだが、客筋は確か。それこそ、この教えが息づいているから

「カウンターの、この丸太が止り木。丸太を横に2本並べて長椅子代わりに渡してあるのは、その方が座りやすいから。これは『弁天亭』時代から変わらない」

あちこちで再開発の進む渋谷だが『森本』のある一角はこれまで一度も計画に入らなかったから「街の形は変わってない」と渡部さん。

一羽の雀になり、『森本』と向き合う。その権利はこれからも、街を行くすべての人にある。

Photos/Yusuke Suzuki, Text/Itaru Tashiro

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