春香が、24歳のとき。
心から愛していた男が、ある日忽然と姿を消した。
その日から、春香の時計の針は止まったまま。食事会に行っても新しい恋人が出来ても、まとわりつくのはかつて愛した男の記憶。
過去の記憶という呪縛から逃れることのない女は、最後に幸せを掴み取る事ができるのか?
3年前に最愛の恋人・祐也が姿を消してから、祐也への未練を吹っ切れずにいた春香。食事会もデートも失敗続きの日々が続くが、親友の恵子に喝を入れられ、目が覚める。
ようやく祐也からもらった指輪を外し、前に進む決意を誓うのだった。
春香と親友の恵子は、麻布十番の『紫玉蘭』で食事をしながら、会話に花を咲かせていた。
2人の話題は専ら、誕生日会についてだ。そう、来週の土曜日は、春香の27歳の誕生日なのである。
誕生日会の幹事は私に任せて、とすっかり張りきっている恵子に、春香はもじもじと切り出した。
......
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