美人広報伝説:“魔性の女”の魅力に次々とハマる男たち。「彼女を超える」と決心した日
エリカ、29歳。
渋谷にある、ベンチャー企業の広報担当。
彼女の優れた広報手腕から、メディア記者の間では「伝説の広報」との呼び声が高い。
しかしそんな彼女が歩んできた道は、決して平たんなものではない。これは彼女が“伝説の広報”と呼ばれるまでの物語である。
転職したベンチャー企業で、突然広報に抜擢されたエリカ。悪戦苦闘しながらプレスリリースを書くものの、何の反応もない。
困ったエリカはテレビ局勤務の剛に助けを求める。
あの早紀が、目の前にいる。
渋谷区円山町にある『レガート』で、エリカは早紀を改めて見た。彼女が目の前にいるのが、未だ信じられない。
「エリカちゃん、久しぶりね」
早紀はそう言って、ニコリと微笑んだ。
早紀の人を惹きつける笑顔は、健在だ。体にぴったりフィットした黒いニットに、同色系のタイトスカート。あの頃より服装はシンプルだが、妖艶なオーラが加わり、彼女の魅力はさらに増したようだ。
「まさかエリカ嬢と早紀さんが、知り合いだったなんて、驚きだなぁ」
引きあわせてくれた剛が、二人を交互に見ながらそう言った。
「そうなの。私も驚いたわ。大学時代の可愛い後輩に、偶然会えるなんて」
当時はサークルにほとんど顔も出しておらず、エリカのことだって覚えていたか謎だが、こうしたセリフをさらっと吐ける女なのだ。
エリカは「私もです」と返し、本題を切り出そうと名刺を差し出した。
「今ベンチャー企業で働いてるんですけど、広報の仕事を急に任されて」
すると早紀は受け取った名刺を凝視し、一瞬の間のあと、こう言ったのだ。
「あら。西島さんの会社ね」
「・・・え?」