日曜日の女 Vol.9

耐える=美徳と思う女は一生幸せになれない?豪邸に住む奥様の、悲しいほどの自己犠牲

東京には、都合の良い勘違いをしている女が多い。

麻布十番で会員制サロンを開いている麗子のもとにも、毎週のように勘違い女が現れる。

麗子は毎週日曜日になると、その週に出会った女たちを振り返るのを趣味としている。

先週は、甘やかされたお嬢様の恋愛模様を紹介した。

さて、今週麗子を驚かせた女とは?


<今週の勘違い女>
名前:後藤貴子
年齢:40歳
職業:主婦、プライベートネイルサロン主宰

耐える女は、美しい?


きちんと自己主張をすることと、何でも我を通そうとすることは、全く違う。

「貴子さん…。このアザどうしたんですか?」

麗子は、常連客の1人である後藤貴子の左腕に、くっきりとした青いアザを見つけてしまった。

そう言ってしまった後に「聞いてはいけなかったのかもしれない」と思い直したが、時すでに遅し。貴子はバツが悪そうに「ちょっと、ぶつけちゃったのよね」と答える。

しかし、貴子が左腕を”ちょっとぶつけた”だけでないことを、麗子は分かっていた。

広尾の自宅の一室でプライベートネイルサロンを開いている貴子は、麗子が知る中で最も裕福で恵まれた「奥様」だ。

仕事柄手もとのネイルは控えている麗子だが、フットネイルをしに貴子の自宅へは何度も通っている。

広尾駅から徒歩で10分程度歩くだろうか。こんな一等地に…と驚いてしまうほど大きな豪邸。

通された広いリビングで行われるネイルの施術中は、お互いの話を沢山するのが常だ。

そのうちに、ポツりポツりと貴子がこぼし始めた家族の話は、麗子にはかなり理解が難しいものだった。

「夫婦喧嘩の愚痴」を超えた、夫からの酷い扱われ様。子供の為に自分を犠牲にする生き方など…。

そんな話を聞いていたからか、麗子には、左手のアザがどうしても「ちょっとぶつけてしまったもの」とは思えなかったのだ。

【日曜日の女】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo