マンネリないつもの街で満足できてる?品川で発見した“わざわざ”行きたい名店3選

今日も慣れ親しんだ街のアノ店に行く…、忙しい日々を過ごす読者諸君にはありがちなこと。だが、本当にそれでいいの?行ったことない街に行けば、新たな美味に出会えるかもしれないのに!ということで、今回は東京の交通の要所である『品川』にある名店をピックアップ!「いつも行く」というマンネリからは味わえない「わざわざ行く」価値のある3軒をご紹介しよう。

“ズッキーニとオマール海老”は岸田シェフ曰く「ズッキーニが主役の料理です」。ミリ単位で厚さや幅を調整したズッキーニは、上に全粒粉、下にコンテチーズの衣をつけ、間接的に火を入れるため、実にジューシー

品川が誇る東京随一のフレンチは精緻にして雄弁
『Quintessance』

白金にその産声をあげたのは11年前のこと。オープン当初から、新進気鋭の若手シェフとして食通たちの注視を浴びてきた岸田周三シェフ。4年前、独立と共に御殿山の地に移転、不惑の年をこえ、今や円熟の時に向けて新たなシーンを静やかに迎えようとしている。

「昔のように即興で料理を作ることはなくなりましたね。今は、1つ1つの料理を、ブラッシュアップしていきたいと思っています」そう、きっぱりと言い切る岸田シェフ。

思い付きで新しい料理を作リ出すのではなく、1つの料理を深く掘り下げながら作り込み、マイナーチェンジしていくことで、完成度の高い一皿に磨きあげる。本当の美味しさとはどういうことなのか――

真の美味と真摯に向き合い、絶えず心と技の鍛錬を続けてきたからこそ到逹できる美食のフィロソフィーが、そこにある。

ぷるんとして柔らかく、口の中でなめらかにとろけるバヴァロアの存在が、オリーブの香りやほのかな苦み、ゲランドの塩の甘みを含んだ塩味を引き立てる。料理は¥23,760(税サ込)のコースより

11年間変わらぬスペシャリテの〝山羊のミルクのバヴァロア〞もいい例だ。この一品、実は主役はオリーブオイルと塩。通常は黒子の調味料を表舞台に引き出そうとする発想自体が、既に傑出している。一見して、何も変わらないようだが中身は少しづつ深化。

まず、オリーブオイル。当初のイタリア産から、現在は南仏・ニームのものを使用している。柔らかで豊かな味わいの黒オリーブと青リンゴの如き清々しさやシャープな辛味が特徴のグリーンオリーブを、その年の出来に合わせ、微調整してブレンド。一定の味をキープしている。

変えることで変わらぬ美味を保ち続ける。長くトップの座に君臨する所以だろう。

岸田周三シェフ、43歳。食に対しては少年のような好奇心の持ち主だ。

オーセンティックで静謐な店内。個室は2室。

「八寸的な盛り合わせ」はコースの中盤で登場。柚子釜の筋子、栗とカラスミ、南京豆腐など、初秋の食材を美しく盛り込んだ。料理はすべて夜のおまかせコース¥10,800~の一例。昼夜ともにおまかせコースのみを供す

ひと晩で二組しか味わえない懐石料理がココに
『懐石ふじ』

「ふたりで営んでいますから、これが限界」と、店主の藤井康博氏。ひと晩で受け入れる客は二組まで。完全予約制の懐石料理店だ。物理的理由だけでなく、全身全霊で今宵の客をもてなしたい、そんな精神的理由もあるのだろう。

「八寸的な盛り合わせ」と称する一品を眺めているだけで藤井氏の、そんな心持ちはヒシヒシと伝わってくる。この日は、巨峰の白和え、石川小芋の大徳寺納豆射込みなど。

今年、初めて入荷した銀杏まであしらい、忍び寄る秋の気配を、早くも表現している。四季の移ろいを愛でて一期一会を共有する茶事が起源の懐石料理。その本分を全うしようと、常に心を砕いているのだ。

コースの〆に供される握り。通常は約7貫が登場する。写真は車海老、マグロ、鯖の棒寿司など

そして、〆に寿司。藤井氏には寿司の名店で研鑽を積んだ過去もある。

「茶懐石のままだと、単調になる」

多くは語らないが、伝えたい根幹の部分は料理で明確に力強く表現する。その姿勢は正に謹厳実直。「今後もやり方は不変を貫く所存」と藤井氏。客がともに歳を重ねていきたいと切に願う。これも名店に必要なひとつの条件である。

店主の藤井康博氏。寿司店で修業した後、銀座や恵比寿の和食店でも研鑽を積んだ。そのキャリアは15年にも及ぶ。

細部にまでこだわり、茶室のような店内を設えた。カウンター席は客座と手前座の関係性をカジュアルに再構築したかのよう。客座には畳も敷かれる。

店舗は高輪の閑静な住宅街にある。

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