東洋経済・東京鉄道事情 Vol.69

外国人には理解不能!ここが変だよ『東京の地下鉄路線図』

これは、慣れない旅行者にとってもとても大事なことで、一度読み方を覚えればどこのどんなタイミングで路線図を読んでも、必ず同じ形のものから情報を得ることができる。残念なことに、東京ではこの方法が通用しない。

たとえば、私鉄各線からの乗り入れ車両には、訪日客の間にも広く流布されている「東京地下鉄ルートマップ」が積極的に貼り出されている状況にはない。

統一フォーマットにこだわっている路線図といえば、ロンドン地下鉄が筆頭に挙げられる。

1931年にハリー・ベックという社内デザイナーが「しゃれ」で作ったのが発祥とされるこの路線図は、その後改良が何度か加えられたものの、路線の引き方や乗換駅の表現方法は発明から90年近くを経たいまでも基本的にベックのアイデアが反映されている。

他国の地下鉄路線図にも、ベックが生み出した地理的正確性よりも位相幾何学(トポロジー)に基づくスタイルの影響が見られるものが数多い。

ロンドン地下鉄では1931年考案のデザインが統一フォーマットとして広く使われている(筆者撮影)

また、路線図と駅の看板で使われるフォントの種類がすべて統一されていることもロンドンの大きな特徴といえよう。

ベックの路線図フォーマットは、乗用車「Mini」、赤い電話ボックス、超音速旅客機「コンコルド」などとともに「英国発祥の優れたデザイン」として高い評価を受けているほか、これをモチーフとしたさまざまなロンドン土産が開発されている。

「駅ナンバリング」もガラパゴス

日本語の地名をローマ字にするととても長くなり、外国人にとって読むのがつらい。そこで考え出されたのが各駅に「英文字+番号」を付す駅ナンバリングだ。現在「東京五輪に向けた訪日客への対策」という旗印の下、主要都市だけでなく地方を走る私鉄線でもこの取り組みが進んでいる。

ところが残念なことに、駅ナンバリングの手法は日本や韓国をはじめとするアジア諸国で非常に活発に行われている一方、欧米ではまるで普及していない。電車を乗りこなすための理解の手段として長いローマ字駅名の代わりに駅ナンバリングという記号的な情報を提供する意気込みは評価できる。

しかし、多くの外国人にとって不慣れな情報伝達方式を使って、日本の電車を乗りこなすのはかなり難しいことだろう。しかもスマホのマップアプリで駅ナンバリングのデータを検索しても、地図を表示しないどころか、その駅がどこかさえもよくわからない。

つまり、駅ナンバリングは「日本鉄道界における新たなガラパゴス化現象」となってしまいかけている。

しかも、日本では駅ナンバリングが積極的に路線図への掲載が進んでいる。ただでさえ細かい文字が並んでいる情報なのに、さらに見にくい状況が増長されている欠点も浮かび上がっている。

東京五輪に備え、訪日客への案内強化がいろいろなところで進められている。新たな取り組みが進むことは評価できても、今回述べたような電車の路線図のように、古くからの習慣で使われてきたものへの配慮は明らかに見過ごされている。

著者
さかい もとみ :フリージャーナリスト

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