にゃんにゃんOL物語 Vol.1

にゃんにゃんOL物語:“慶應卒の商社マンと結婚したい”と願う、腰掛けOL(26)は幸せなのか?

結婚したい。でも相手がいない


「料理教室にも通っているし、掃除もできるし、良いお嫁さんになると思うんだけどなぁ。」

「結婚したら、仕事はどうするの?」

「仕事ですか?うーん。辞めてもいいかな。」

ふんわりとした愛華の答えを聞きながら、現在、婚活市場における“OLさん”という職業が、どれほどの市場価値なのだろうかと頭の中で計算する 。

一昔前はCAこと、客室乗務員が高値で高騰中だったが、近年その値は下がっている。

それと同じく、昔は“良いお嫁さんになってくれそう”だったOLたちの価値は、一体どのくらいなのだろうか?

「今の仕事も格段好きというわけではないし...それに、誰にでもできるような仕事だから、やりがいがあるわけでもないですから。」

以前から、アリサは不思議に思っていたことがある。


—OLたちは、働いていて楽しいのだろうか、と。


かくいうアリサも以前は貿易関連会社でOLをしていたが、2年で辞めた。やりがいを感じなかったからだ。

しかし、愛華は仕事に不服はあるものの、辞めるような気配は一向にない。そこが、問題だ。


にゃんにゃんOL、いざ意識改革の時


「仕事がつまらないなら、自分で何かするとか、辞めて転職するとかしないの?」

「えー、そんなことできないですよぉ。アリサさんじゃあるまいし、私にそんな勇気はないです。それに今の会社、嫌いではないから。」

愛社心があるのは素晴らしい。しかしきっと、愛華自身が一番知っている。


—自分の本当の居場所は、“ここではないどこか”だということを。


だから毎日の生活の中で、心が躍るようなことを探し、それで心を満たしている。

ちょっと贅沢なホテルの2,700円するランチに、予約の取れない高級店でのディナー。

インスタ映えするおしゃれスポットに、自慢できるようなハイスペックな彼氏、キラキラした女友達との旅行。


そんな彼女たちの心の隙間を埋めてくれるのは、Instagramにつくいいね!の数。


でも、幸せは自発的に動いた人のところへやってくる。仕事と同じく、受動態では何も得られぬことを、彼女達は気がついていない。


段々と、向上心に欠ける愛華に対して、苛立ちに似た感情を覚える。

飲んでいたワイングラスを机にドンと置き、すぅっと息を肺いっぱいに吸い込む。そして一気に、溜まった空気を吐き出した。


「あなたみたいな女、私、腐るほど知ってるわ」


ポカンと口を開け、愛華がアリサを見つめている。そんな愛華を横目に、にゃんにゃんOLに喝を入れていこうと決意したアリサがいた。

▶NEXT:8月9日水曜更新予定
にゃんにゃんOLは、意識改革せよ!過ぎていく日々の中で、失っていくもの

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