2017.08.02
にゃんにゃんOL物語 Vol.1結婚したい。でも相手がいない
「料理教室にも通っているし、掃除もできるし、良いお嫁さんになると思うんだけどなぁ。」
「結婚したら、仕事はどうするの?」
「仕事ですか?うーん。辞めてもいいかな。」
ふんわりとした愛華の答えを聞きながら、現在、婚活市場における“OLさん”という職業が、どれほどの市場価値なのだろうかと頭の中で計算する 。
一昔前はCAこと、客室乗務員が高値で高騰中だったが、近年その値は下がっている。
それと同じく、昔は“良いお嫁さんになってくれそう”だったOLたちの価値は、一体どのくらいなのだろうか?
「今の仕事も格段好きというわけではないし...それに、誰にでもできるような仕事だから、やりがいがあるわけでもないですから。」
以前から、アリサは不思議に思っていたことがある。
—OLたちは、働いていて楽しいのだろうか、と。
かくいうアリサも以前は貿易関連会社でOLをしていたが、2年で辞めた。やりがいを感じなかったからだ。
しかし、愛華は仕事に不服はあるものの、辞めるような気配は一向にない。そこが、問題だ。
にゃんにゃんOL、いざ意識改革の時
「仕事がつまらないなら、自分で何かするとか、辞めて転職するとかしないの?」
「えー、そんなことできないですよぉ。アリサさんじゃあるまいし、私にそんな勇気はないです。それに今の会社、嫌いではないから。」
愛社心があるのは素晴らしい。しかしきっと、愛華自身が一番知っている。
—自分の本当の居場所は、“ここではないどこか”だということを。
だから毎日の生活の中で、心が躍るようなことを探し、それで心を満たしている。
ちょっと贅沢なホテルの2,700円するランチに、予約の取れない高級店でのディナー。
インスタ映えするおしゃれスポットに、自慢できるようなハイスペックな彼氏、キラキラした女友達との旅行。
そんな彼女たちの心の隙間を埋めてくれるのは、Instagramにつくいいね!の数。
でも、幸せは自発的に動いた人のところへやってくる。仕事と同じく、受動態では何も得られぬことを、彼女達は気がついていない。
段々と、向上心に欠ける愛華に対して、苛立ちに似た感情を覚える。
飲んでいたワイングラスを机にドンと置き、すぅっと息を肺いっぱいに吸い込む。そして一気に、溜まった空気を吐き出した。
「あなたみたいな女、私、腐るほど知ってるわ」
ポカンと口を開け、愛華がアリサを見つめている。そんな愛華を横目に、にゃんにゃんOLに喝を入れていこうと決意したアリサがいた。
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にゃんにゃんOLは、意識改革せよ!過ぎていく日々の中で、失っていくもの
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