丸の内のプーさん Vol.5

そろそろ、西麻布なんか卒業したい。証券マン30歳が、港区女子に疲弊した日

丸の内勤務の証券マン・江森(通称:えもりん)、30歳。おとめ座。

外見はプーさんそっくり、愛されキャラな男。好きな食べ物はハチミツ...ではなく、『ウルフギャング』のプライムステーキ。

港区生まれ、港区育ち、育ちのいい奴らは皆トモダチ。生まれながらに勝ち組な彼は、日本を代表するエリート・サラリーマンとして独身生活を謳歌している。

イケてるはずなのに拗らせ気味な男・えもりんは、周囲の結婚ラッシュに焦り、恋人探しに精を出す。しかし、真面目な損保OLとのデートにゲッソリと疲れ、CAの菜々子とのデートは19時解散となってしまった。


「えもりん、それは流石に脈ナシだろー」

悪友のハルが、電話越しに大笑いしている。サラサラの髪をなびかせて、腹を抱えている光景が目に浮かぶ。

「19時解散なんて、そのCA、絶対他に男いるよ。鮨だけ堪能したかったんだろうな」

「菜々子ちゃんは、そんな子じゃ...」

江森は辛うじてハルに反論するが、その声はどうしても弱々しく萎んでしまう。

17時の『鮨 たかはし』の予約に間に合うように仕事を大急ぎで切り上げた労力と、通常デートの軽く3倍の金額が印字されたクレジットカードの控え。

―ボクは一体、何をしているんだ...。

「まぁ、元気出せよ!これから西麻布で美紗と飲むから、お前も来いよ」

「西麻布......」

銀座で極上美女と高級鮨を味わうという上品極まりない時間を過ごしたあと、西麻布の地に赴くのは、正直テンションが上がらない。

しかし、菜々子に置き去りにされてしまった寂しさには、敵わなかった。

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