東京マザー Vol.16

東京マザー 最終回:女が母親になっても手放すべきでない、いくつかのこと

子を産み、子を育て、家を守る。

昔からあるべき女性の姿とされてきた、“良妻賢母”。

しかしその価値観は、現代においてはもう古い。

結婚して子どもを産んでも、男性と同等に働く女性が増えた今こそ、良妻賢母の定義を見直す時だ。

レコード会社で働くは、恋人からプロポーズされた。だが、育休から復職した先輩・佳乃を見て、子供を育てながら仕事を続けることの大変さを目の当たりにして、将来の自分を不安に思うのだった。

今回は2年後の彼女たちの姿をお届けしよう。


メールを送信し終えると、希は重たいお腹をかばうように席を立った。

妊娠33週になり、産休に入るまではあと1週間。後任への引き継ぎも順調で、休暇に入る実感がじわじわと沸いてきた。

プリンターから紙を取り再び自分のデスクに戻ってパソコンを見ると、メールが1通届いていた。

件名の頭には【業務外】とある。送り主は佳乃だ。

さっそくメールを開くと、そこには5つのURLが並んでおり、それぞれには項目がついていた。

家事代行のURLが3つ、ベビーシッターが2つ。ひとつずつに佳乃のコメントもついていた。

パソコン越しに佳乃のデスクにちらりと目を遣ると、彼女と目が合いニコリとされた。

―行きます?

希が声を出さずに口だけを大きく動かすと、佳乃はまた笑顔でこくりと頷いた。

産休に入る前の、佳乃との最後のランチだ。

希はまた重たいお腹をかばうように席を立ち、佳乃のもとへと近づいた。

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