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  • たった1人の女 Vol.2

    たった1人の女:ホテルのプールで出会ってしまった男女の、夏の恋の危うい結末

    「翔太から、2枚目のカードを作るのならって勧められたんだ。ダイナースクラブカードがあれば、麻友をもっと喜ばせられるって言って」

    「え、翔太くんがそんなことを?」

    「そう。レストランや空港で使える便利な特典が色々あるらしいんだ」

    智弘が言うと、麻友はすぐにスマホを取り出し、すばやい手の動きで操作を始めた。

    「すごい、ダイナースクラブカードは、日本で最初に発行されたクレジットカードなんだって。そんな歴史、他のカードにはない特別感があるね」

    麻友は、何かすごいものを発見したかのように大げさに驚いた。時折見せるこの無邪気な笑顔が、智弘の心を掴んで離さない。


    ダイナースクラブカードを作ったのがきかっけかもしれないし、たんなる偶然かもしれない。なんにせよ、それから2人はより一層、デートの幅を広げて出掛けるようになった。

    国内はもちろん、旅行で訪れた海外の空港でもダイナースクラブカードの特典で利用できるラウンジを使用したし、日本にいる時は、レストランの1名分の所定コース料金が無料になるエグゼクティブ ダイニングを利用した。

    ほかにも、ダイナースクラブ会員限定の優待で『ベージュ アラン・デュカス 東京』を訪れたりもした。

    そんな日々を重ねる中で智弘が、麻友との結婚を意識したのも自然なことだった。

    ―ずっと麻友と一緒にいたい。麻友をほかの男にとられたくない。

    いつしかそう思うようになっていた。

    付き合ってきた女性から結婚を迫られることも多く、のらりくらりとかわしていた智弘。だが麻友は逆に、結婚願望が希薄な女性だった。それが余計に智弘の気持ちを駆り立てた。

    「結婚も、悪くないかもね」

    智弘の気持ちが通じたのか、麻友も結婚を前向きに考えるようになった。そうして話はトントン拍子に進み、両親にも麻友のことを紹介した。

    初めて、心から愛した女性だった。彼女を幸せにしたいと、心の底から思っていた。

    だからこそ……。


    心から愛していたからこそ、許せなかったのだ。麻友が、智弘ではなく仕事を選んでしまったことが。


    婚約の話を進めていた時、麻友にキャリアアップの話が舞い込んだ。フランスにある本社への赴任。麻友が、入社当初から希望していた道だ。

    一度行けば、3年は向こうにいることになると言った。

    「本当は、智弘にも言わずに断るつもりだった。でも、断ろうと思えば思うほど、行きたい気持ちが強くなったの」

    智弘の家の、黒い革張りのソファで、涙を流しながら麻友は言った。それに対して、智弘も反論するように言った。

    「3年も離れるなんて、無理だよ」

    そう言って悲しんだり、怒ったりして感情をぶつけた。だが何を言ってももう、麻友の心を変えることはできなかった。智弘は、麻友の仕事に対する情熱に嫉妬するしかなかった。

    最後に会った時、麻友は1粒の涙さえこぼさなかった。

    あの夏の日、智弘は確実に恋に落ちた。だが、麻友にとってはそれまでの恋と大差のないものだったのかもしれない。そう考えるのが、智弘にとっては何よりも苦しかった。

    数年後・・・


    「お前もついに、結婚か」

    タキシード姿の智弘を見て、翔太が笑いながら言ってきた。

    「まあな。お前も、いつまでも港区女子を育ててばっかりいないで、そろそろ真面目に考えろよ」

    肘で軽く小突きながら言うと、翔太は「そうだな」とは言うものの、全然その気がなさそうに笑う。

    「でも、モトサヤ婚って意外と多いけど、まさか智弘と麻友ちゃんもそうなるとは思わなかったよ」

    そう言われて、智弘は右の口角だけを上げてにやりと笑った。

    麻友と別れて1年半が過ぎた頃だった。荒れた生活を送るのにも疲れ果て、淡々とした毎日を過ごしていた頃、ずっと放置していたFacebookに麻友からメッセージが届いたのだ。

    ―デートでよく連れて行ってくれた、銀座のレストランの名前はなんだっけ?今度出張で日本に行く上司に教えてあげたいの。

    智弘と連絡をとるための、ただの言い訳だったと麻友はすぐに白状したが、これをきっかけに徐々に連絡をとるようになり、ようやく結婚へとこぎつけた。


    初めて会った、夏のあの日。恋に落ちたのは麻友も同じだった。


    忘れられるはずなんて、なかったのだ。互いに、そのことに気付くまでに1年半を要した。

    その1年半はまるで、2人が出会った日に降った、たった20分のドシャ降りの雨のようなものだったのかもしれない。

    いつ止むのかわからず、途方に暮れるほどの雨だった。

    だが通り過ぎてしまえば、幻だったのかと思えるほど短い、一瞬の出来事のようでもあった。


    ▶NEXT:10月配信
    智弘をプールに誘った雅基と、“たった1人”の女の物語。

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