東京マザー Vol.12

東京マザー:結婚、出産、育児…。人生と仕事を秤にかけねばならぬ、不自由な女たち

子を産み、子を育て、家を守る。

昔からあるべき女性の姿とされてきた、“良妻賢母”。

しかしその価値観は、現代においてはもう古い。

結婚して子どもを産んでも、男性と同等に働く女性が増えた今こそ、良妻賢母の定義を見直す時だ。

レコード会社で働くゆり子は、育休から時短勤務で復職した佳乃に対して不満を募らせていた。佳乃の夫・紀之を食事に誘うも、2回目は断られてしまい不満は溜まる一方だった。


紀之から断られたことは、少なからずゆり子のプライドを傷つけた。

彼のことが、好きなわけではない。

紀之を誘ったのは、どちらかと言うと佳乃への嫉妬心だった。

それに、昔自分が振った男は、何年経ってもこちらから誘えばほいほいと乗ってくる。そんな思いも少しだけあった。

彼は、私に振られたから佳乃にいったのだ。きっと、本当に好きで手に入れたかったのは、私の方だ―。

そんな思いが無意識のうちにあったのかもしれない。

だが紀之は、あくまで同僚として接してきた。まるで、2人の過去なんて、なかったかのように。

―過去の栄光にすがる女。

嫌な言葉が脳裏に浮かび、「はぁ」と大きくため息をついた。

結婚して子どもを産んだら、女であることを辞める自由が得られる。

ゆり子は時折、それがものすごく羨ましく思える時がある。

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