東京マザー Vol.2

東京マザー:母親になったら、女をアピールしちゃだめ?独身女と既婚女の深まる溝

子を産み、子を育て、家を守る。

昔からあるべき女性の姿とされてきた、“良妻賢母”。

しかしその価値観は、現代においてはもう古い。

結婚して子どもを産んでも、男性と同等に働く女性が増えた今こそ、良妻賢母の定義を見直す時だ。

家庭も、仕事も、子育ても、完璧を目指すことで苦しむ東京マザーたちが模索する、“現代の良妻賢母”とは、果たしてどんな姿だろうか。

育休から復帰し、時短勤務がスタートしたレコード会社勤務の佳乃。上司であるゆり子から、雑用のような仕事を任され時短勤務の難しさをさっそく痛感したのだった。


佳乃が復職した初日、彼女のデスクに置いてあるバッグを見て、ゆり子の胸の中では黒くてどろりと重たい感情が広がった。

おそらく買って間もないであろう、セリーヌのラゲージ ファントム。端からは、パステルカラーの動物がプリントされたタオルが覗いてた。

その不似合いな組み合わせに、ゆり子は大きな違和感を覚えた。

さらに、こちらもおろしたてのように綺麗な、5cmはあるヒールを履いている。

―え、これで保育園の送り迎え……?

今まで何人もの、育休あけの女性を見てきたゆり子だが、佳乃のように育児には不適切な服装で戻ってきた人を、ゆり子は知らない。

「佳乃さん、さっそくだけどミーティングできる?」

いろんな思いがごちゃまぜになった感情を押し殺すように、明るく言ったつもりだが、佳乃に悟られたのではないかと少々心配になった。

こんな風に苛立ってしまうのは相手が佳乃だからだろうか。

ふとよぎった考えを振り払うように、大きく息を吐いて自分のデスクへ急いだ。

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