東京マザー Vol.10

東京マザー:妻から「離婚」を告げられた夜。家庭円満だと思っていたのは、夫だけ

子を産み、子を育て、家を守る。

昔からあるべき女性の姿とされてきた、“良妻賢母”。

しかしその価値観は、現代においてはもう古い。

結婚して子どもを産んでも、男性と同等に働く女性が増えた今こそ、良妻賢母の定義を見直す時だ。

家庭も、仕事も、子育ても、完璧を目指すことで苦しむ東京マザーたちが模索する、“現代の良妻賢母”とは、果たしてどんな姿だろうか。

レコード会社で働く紀之は、佳乃と社内結婚し円満な家庭を築いていたが、佳乃が育休から復職して以来、夫婦関係は冷め始めた。そんな時、昔好きだったゆり子と2人で食事に行った事が佳乃の耳に入り、関係はますます悪化していた。


「あー、首痛ぇ……」

木曜の朝、会社のエントランスでエレベーターを待ちながら、紀之は右手で首の付け根を触った。

リビングのソファで寝るようになって数日が経つ。

そのせいだろう、最近は疲れが取れず首と腰に疲労が溜まっている気がする。

佳乃から「ソファで寝てくれる?」と言われて以来、寝室には着替えに入るだけで、ほとんど近づかなくなった。

何度謝っても佳乃は「今はまだ話したくない」としか言わないため、仲直りのしようもない。

週末、広島から佳乃の母親が来ていた時は、まだ会話は成立していたが、義母が帰ってしまってからは、最低限の会話しかなく家の中には重苦しい空気が漂っている。

「どうすりゃいいんだよ……」

小さく呟いてエレベーターに乗り込んだ。ちょうどその時、ポケットに入れていたスマホが震えた。画面を見て、紀之は深いため息を吐いた。

そこには、ゆり子からのLINEが届いていた。

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