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  • 女が女になる年齢 Vol.2

    女が女になる年齢:ケンカ以来2週間ぶりの連絡。意味深な内容に、かき乱される女心

    「麻里ちゃん、女はね30歳を過ぎてから、ようやく本当の女になれるのよ」

    そう言って、綺麗に口紅を塗った唇を上品に動かした。

    「本当の女って、どういうことですか?」

    「20代はまだ“女の子”。30歳を過ぎてやっと“女”の入り口に立てるの。20代では持てなかった落ち着きや品、包容力がようやく板についてくるのが30代よ」

    泉は楽しそうに言うと、綺麗な声でさらに続けた。

    「20代にしかない魅力もあるかもしれなけど、30代にしか出せない魅力だってたくさんあるんだから。そこに気がつくかつかないかで、30代の楽しみ方が大きく変わってくるものよ。そう考えると、年齢を重ねることが楽しみにさえ思えてこない?」

    ―泉さんはそうかもしれないけど、私は……。

    せっかくのアドバイスだったが、年齢を重ねることへの漠然とした不安は、しっかり麻里子の中に根付いている。そのせいか、釈然としない気持ちを抱えたまま、素直に納得することはできなかった。

    嫌な連絡は、いつだって突然


    その日の夜、大学からの友人である智美と麻布十番の『クチーナヒラタ』でパスタを食べながら近況報告をしていた。

    最低でも月に1~2回は必ず会っている、仲良しの女友達だ。

    「もぉ~、聞いてよ!」

    麻里子の第一声を皮切りに、高史とのケンカを詳しく報告した。智美は高史とも会ったことがあるため、話が早い。

    ひとしきり話を聞いてもらった後、彼女は思いだしたように言った。

    「そう言えばさ、この前送った動画、見た?」

    「え、動画?……あぁ。あれね、あの時ちょうど高史とケンカの真っ最中だったんだから」

    智美は「そうなの、ごめーん」と笑いながら謝ったかと思うと、すぐに真顔に戻ってこう言った。

    「あれね、まさに私たちのことだから。ちょっと今見てよ」

    「え、今?」

    智美の勢いに押されるように、テーブルに置いていたスマホを手に取り、送られていたURLを開いた。


    智美が「そうそう、それ」と言いながら、麻里子のスマホを覗き込んでくる。

    小さく音を出すと、イントロの音楽が流れスマホ画面には赤ちゃんが映った。

    ちょうどその時。スマホ画面の上部に、LINEのメッセージが届いたことを知らせる表示がでた。メッセージの送り主は高史だ。

    約2週間ぶり。ケンカで終わったデート以来、初めての連絡に、麻里子の心臓が大きく反応する。

    「智美ごめん。ちょっと止める」

    早口でそれだけ言うと、スマホを独り占めして急いでLINEを開く。1秒でも早く見たくて、気持ちが焦る。


    ―元気?連絡しなくてごめん。俺たち、一度会ってきちんとしよう。


    「きちんとって、何?!まさか、別れるってこと?!」

    思わず強い口調で、智美を問い詰めるように聞いてしまう。

    「別れ話を切り出されるとしか思えない。どうしよう……」

    じんわりと涙が浮かんできた。

    智美は「大丈夫だよ、きっと仲直りの提案だよ」と言ってくれるが、そんな風に前向きに捉えることなんて到底できない。

    嫌な想像は、あっと言う間に膨らんだ。


    ▶NEXT:7月12日 水曜更新予定
    高史との再会。彼は一体何を語る?

    麻里子が見ようとした動画。それは、女性であれば共感せずにはいられない内容だった。

    ■衣装協力:P1,P2左,P3/カーキニットTシャツ¥7900 ベージュスカート¥11000 P2右/ホワイトニットTシャツ¥11000 花柄ネイビーパンツ¥13000(すべてバナナ・リパブリック0120-77-1978)

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