港区内格差 Vol.11

港区から離れゆく勝者たち。本当の豊かさを知った者が、港区の次に住む場所とは

港区であれば東京の頂点であるという発想は、正しいようで正しくはない。

人口約25万人が生息するこの狭い街の中にも、愕然たる格差が存在する。

港区外の東京都民から見ると一見理解できない世界が、そこでは繰り広げられる。

これはそんな“港区内格差”を、凛子という32歳・港区歴10年の女性の視点から光を当て、その暗部をも浮き立たせる物語である。

白金で生まれ育ったお嬢様の格の違いを思い知り、港区タワマン・オワコン説に異論を唱えた凛子。港区派閥争いを見て、港区で生きる孤独を知るが...。


鬱陶しい梅雨は、永遠に終わらない季節のように感じることがある。

凛子は、雨が嫌いだ。お気に入りの靴も洋服も、雨の日は勿体ぶって大事にクローゼットの奥に仕舞い込むため、お披露目する機会がない。

髪だって、せっかく綺麗に巻いても15分もすれば湿気で元どおり。

今日も、家を出る時には完璧だった巻き髪もいつの間にかストレートに戻りかけている。

「だから雨は嫌いなのよね。」

取れかけの巻き髪を触りながら、時計に目をやる。

—18時15分

いつもであればまだ家にいて、準備をしている時間だ。しかし、今日の待ち合わせの相手は、18時半から食事の約束をしてきた。

「待ち合わせの時間、早すぎるわね。」

目の前に座る少し不服そうな顔をしている美奈子の、綺麗にまとめられた髪型を見て、一つに結んでくればよかったと少し後悔する。

「なんせ佐藤さん、先月茅ヶ崎に引っ越してからすっかり健康的になったらしくて。」

その時、お店の扉が開く音がした。

つい数ヶ月前まで港区の中心で生きていた佐藤だが、先月茅ヶ崎に引っ越した。そんな彼は、まるで別人のように穏やかな顔をして登場した。

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