港区であれば東京の頂点であるという発想は、正しいようで正しくはない。
人口約25万人が生息するこの狭い街の中にも、愕然たる格差が存在する。
港区外の東京都民から見ると一見理解できない世界が、そこでは繰り広げられる。
これはそんな“港区内格差”を、凛子という32歳・港区歴10年の女性の視点から光を当て、その暗部をも浮き立たせる物語である。
港区内で頂点を極めた者に与えられるキングとクイーンの称号。クイーンとなり、港区女子を卒業した凛子は、“ギャラ飲みする女性”と、港区データバンクの存在を知った。
「ここって、住所は何になるの?」
美奈子が、リビングのソファーですっかりくつろいでいる。
珍しく彼女が「凛子の家に行きたい」と連絡をよこしてきたため、我が家に招くことになったのだ。
凛子は、ローズヒップティーを淹れながら、リビング越しに見える大きな窓を眺める。
......
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