港区内格差 Vol.8

永遠に叶わない、白金出身のお嬢様。大人になって港区に住み始めた者が抱える負い目とは

港区であれば東京の頂点であるという発想は、正しいようで正しくはない。

人口約25万人が生息するこの狭い街の中にも、愕然たる格差が存在する。

港区外の東京都民から見ると一見理解できない世界が、そこでは繰り広げられる。

これはそんな“港区内格差”を、凛子という32歳・港区歴10年の女性の視点から光を当て、その暗部をも浮き立たせる物語である。

港区内で頂点を極めた者に与えられるキングとクイーンの称号。クイーンとなり、港区女子を卒業した凛子は、“ギャラ飲みする女性”と、港区データバンクの存在を知った。


「ここって、住所は何になるの?」

美奈子が、リビングのソファーですっかりくつろいでいる。

珍しく彼女が「凛子の家に行きたい」と連絡をよこしてきたため、我が家に招くことになったのだ。

凛子は、ローズヒップティーを淹れながら、リビング越しに見える大きな窓を眺める。

窓から見える有栖川公園の木々は、昨日の雨をたっぷりと吸い込み、より一層綺麗に見えた。

「住所は元麻布よ。東京都港区、元麻布。」

はぁ、と美奈子がわざとらしく大きな声で溜息をつく。

「同じ都内でも、この辺りで育った子たちって何か違うのよね...」

美奈子の発言を聞き、先日出会った紗江のことを思い出した。母親が有名なアパレル会社を営んでいる紗江の実家は白金台にあり、この界隈では有名な一家だ。

「そうなのよね...東京出身と一言で言っても、全然違う。」

紗江を見ていると、歴然とした格差を感じずにはいられなかった。

白金、麻布、松濤、田園調布、成城、広尾...都内でも屈指の高級住宅街と呼ばれる地域出身の人たちからすると、下手な地方より、都内の他の地域の方が“田舎”だと言う。

そして港区内でも、実家が港区にある人と、大人になってから港区に住み着いた人では、雲泥の差があった。

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