夜更けの赤坂で、女はいつも考える。
大切なものは、いつも簡単に手からすり抜けてしまう。
私はいつも同じところで立ち止まり、苦しみ、前を向こうとして、またつまずく。
29歳、テレビ局の広報室で働くハナは、ひと回り年上のプロデューサー・井上と出会う。
深夜に井上を呼び出し、自由気ままに振る舞うハナ。その言動に隠された心の傷とは?
「渉君って、玲奈と結婚秒読みらしいね」
半年前のある日。
他局で働く同期との飲み会で、何気なく言われたひとこと。ハナはその言葉に、思わず耳を疑った。
その日は六本木の『石頭楼アネックス』で、甘い豚ばら肉と相性抜群の、ピリリと辛い火鍋に舌鼓を打っていた。お肉に絡ませた......
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