東京マザー Vol.3

東京マザー:雑誌に出るようなワーママなんて大嘘!子どもを持って働く女の過酷な現実

子を産み、子を育て、家を守る。

昔からあるべき女性の姿とされてきた、“良妻賢母”。

しかしその価値観は、現代においてはもう古い。

結婚して子どもを産んでも、男性と同等に働く女性が増えた今こそ、良妻賢母の定義を見直す時だ。

家庭も、仕事も、子育ても、完璧を目指すことで苦しむ東京マザーたちが模索する、“現代の良妻賢母”とは、果たしてどんな姿だろうか。

育休から復職し、時短勤務がスタートしたレコード会社勤務の佳乃。上司であるゆり子は佳乃の復職を快く思っておらず、部下の希は延々と続く愚痴を聞かされた。


佳乃が復職して3週間。

希はまだ一度も、佳乃をランチに誘えずにいた。彼女を見ていると、とてもランチに誘えるような雰囲気ではないのだ。

佳乃は、出社直後から鬼気迫る表情でパソコンに向かい、トイレに行く時間も惜しいといった雰囲気でひたすらキーボードを叩いている。

そして16時になれば、バッグを引っ掴むようにしてバタバタとオフィスを出て行く。

いつも小走りで、出産前より少し早口になり、発する言葉には少しだけトゲが含まれるようになった。

復職当初はヒールとセリーヌで通勤していた佳乃だが、気付けばレザーの大きなトートバッグとヒールのないペタンコ靴に変わっていた。

それがどこかのブランドのものなのか、希にはわからないがただひとつ、子どもを持った母親が仕事を続けるということがどれほど大変なのか、それだけは痛いほどに伝わってきた。

佳乃のトートバッグからはやはり、パステルカラーの動物がプリントされたタオルがちらりと顔をのぞかせている。

そのタオルからは、これ以上ない平和と幸福の温度を感じるが、それを持っている佳乃は、幸福とはほど遠い場所にいるようにしか見えなかった。

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