港区おじさんコレクション Vol.2

バッグは新作なのに、男は中古品?港区女子と港区おじさんの関係。その矛盾

外資系投資銀行でバックオフィスを担う、有希、30歳。

彼女は「業界内での出世」を狙うべく、様々な港区おじさんと関係を深めていく。

業界内にとどまらず、事業会社の地位ある人物にまで触手を伸ばしていき、港区の酸いも甘いも知り尽くした彼女に与えられた呼び名は、“港区おじさんコレクター”。

最初は出世のための社交だったものの、徐々に港区おじさんの世界にハマり、港区おじさんのポートフォリオを組むようになってしまった有希が、港区の裏側を暴いていく。

業界でのスーパースターである勇人を新たにコレクションに加えた有希。そもそも有希はなぜ複数人の男性をコレクションするようになったのか。

6年前の記憶を辿る。

新しい恋愛のカタチ?夢にそそのかされる女達。


AM8:00

マグカップを両手で持ちながら、有希はコーヒーの匂いが給湯室に充満するのを楽しむ。夜の遅い投資銀行は、朝もだらだらと開始が遅い。

寝惚け眼で出社するチームのためこっそりコーヒーを入れておくのが有希の日課だ。

「有希!こんなところにいたのね。探したんだから。」

大声で同僚の麻衣が飛び込んでくる。

長身でスラリとした有希とは対照的に、小柄でふっくらした体型の麻衣は、女子アナのようなブラウスにふんわりとしたスカートが良く似合う。ノリが良く、歌も上手で、お酒の強い麻衣は、オフィスの男性陣からも人気が高い。有希からしてみれば、コントラストを出してくれる大切な女友達だ。

「セールス部門のエリカ!あの子と私の彼がデートしてるの見たの!もう、ありえないんだけど~」

涙声の麻衣の話をかいつまむと、どうやら昨晩お店から連れ立って出てきた2人を目撃し、こっそり追いかけていくと、タクシーに乗り込んでしまったらしい。

―彼って言いつつも、既婚者でしょ。

と心の声を隠しつつ、泣き始める麻衣を会議室に促す。

最近既婚者との恋愛に関するニュースを耳にすることが増えた。きっと何度も繰り返し聞くうちに、人々の感覚は鈍化し、まるで恋愛の形が1つ増えたかのように受け入れるようになるのかもしれない。

「案件不足」と言われる昨今の外資系投資銀行でも、忙しい時期はオフィスに泊まり込むこともある。有希のチーム・メンバーも大体1、2枚はワイシャツをデスクにストックしており、男性側の禁断の恋への条件と口実は揃っているようだ。

でも、有希には不思議でならない。最新のレストラン、新作のバッグ、今季のファッション。なんでも新しい物好きな女性が、なぜ男性だけ中古品でも良いのか。1番が大好きな港区女子達が、なぜ2番手に甘んじるのか。

所詮、既婚者は既婚者。彼らの遅れた青春ごっこに付き合うくらいなら、自分のために利用した方がよほど良い。

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